河辺愛菜の悔しい初五輪。「4年後は出場するだけでなく、上位を目指せる選手に」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

フリー演技の河辺。ジャンプの転倒が続いたフリー演技の河辺。ジャンプの転倒が続いたこの記事に関連する写真を見る 冒頭、歴史に名を刻む意気込みで挑んだトリプルアクセルは、ダウングレードでステップアウトとなった。3回転ルッツでも転倒し、セカンドをつけられない。3回転ループは成功も、次の3回転ルッツは転び、またもコンビネーションをつけられなかった。これだけ崩れたことは、今シーズン一度もない。

「アクセルは自信を持っていけたと思うんですが。一回崩れてしまうと、焦りに変わって、どんどん崩れてしまって。調子自体は悪くなかったんですけど、精神的な弱さが出てしまいました」

 河辺は憔悴した様子で語っている。五輪では、経験のある選手たちが1日35〜70分という短い時間で調整し、きっちりと試合に合わせていた。ルーキーはリズムをつかめなかった。

 その後、河辺は意地を見せてステップでレベル4をとり、ダブルアクセル+3回転トーループ+2回転トーループの3連続をどうにか乗りきった。しかし、3回転フリップは大きく着氷が乱れた。3回転サルコウを成功させ、コレオからスピンの流れはらしさが出たが、本来の出来にはほど遠く、演技後の表情がすべてを物語っていた。自分自身に憤っているようだった。

 104.04点で25人中23位。SPから順位を下げ、トータルでも166.73点で23位と低迷した。

【悔しさを「いいものに変える」】

 五輪でよかったなと思うところは?

 そう訊かれた河辺は言葉を選びながら、こう答えている。

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