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河辺愛菜の悔しい初五輪。「4年後は出場するだけでなく、上位を目指せる選手に」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

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【味わった五輪の楽しさと怖さ】

「今までで一番悔しい試合になってしまって」

 試合後、河辺愛菜(17歳、木下アカデミー)は涙声でそう振り返っている。

「(五輪は)経験したことのない試合で、何もかもが違って。楽しかったけど、すごく怖い試合でした。不安というか、なんだろ、ずっとそわそわして。自分のジャンプの悪い癖がすべて出てしまったと思います。こういう演技になってしまい、申し訳ないです」

 その声は震えていた。楽しさと怖さ。ふたつの感情に挟まれたまま、初めての五輪は終わったーー。

 2月15日、北京五輪のフィギュアスケート女子シングル。河辺は初めての五輪の舞台に立っている。ショートプログラム(SP)の6分間練習、心のざわつきを感じさせる表情があった。

 周りの選手と呼吸が合わず得意とするトリプルアクセルのコース取りに手間取って、なかなか跳べていない。第1グループなのもあって、こうした舞台に慣れていない選手もいるのだろう。衝突しそうになる瞬間もあり、ヒヤッとさせた。残り1分、やや無理矢理跳んだアクセルは空中でほどけ、着氷が大きく乱れていた。重ねてルッツもうまくいかず、リンクを降りる時、手応えをつかめなかった焦燥がにじみ出ていた。

「お昼の練習とか普通に調子よかったので、自信もあったんですが。直前(6分間練習)で、自分に集中できなくなってしまって。心の弱さが出ました」

 河辺はそう振り返っている。

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