2022.02.19

樋口新葉、苦難の末にフィギュアスケート女子五輪史上5人目の快挙。4年後への意気込みも明言した

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 フィギュアスケート女子シングル。念願の五輪の舞台に立った樋口新葉が、じっくりと習得に励んできたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をショートプログラム(SP)とフリーで計2本成功させ、出来栄え点(GOE)でもプラス評価をもらう完成度を見せ、総合5位入賞を果たした。五輪でトリプルアクセルを成功させたのは、女子シングル史上5人目(伊藤みどり、浅田真央、長洲未来、カミラ・ワリエワに次ぐ)。女子がトリプルアクセルを跳ぶことの難しさを物語っている。

総合5位となった樋口新葉のフリーの演技総合5位となった樋口新葉のフリーの演技 この記事に関連する写真を見る  日本女子のレジェンドでもある五輪メダリストふたりに肩を並べたわけだが、樋口も五輪デビュー戦となった団体戦の女子SPに出場して、『ユア・ソング』でノーミス演技を披露して決勝進出(上位5カ国)に貢献。日本に初めての団体での五輪メダルをもたらす快挙を成し遂げたメンバーの一員となり、幸先のいい初陣となった。

 この勢いを個人戦につなげるには、本番リンクにいかに慣れるか、そして初体験の五輪選手村での生活をどう楽しめるかにかかってくることを、平昌五輪で洗礼を受けた経験を持つ坂本花織からはアドバイスされたはずだ。

「ずっと戦ってきて、一緒にこの期間も過ごしてきて、すごく引っ張ってもらえた存在だったし、団体戦の時も一緒に頑張ってきました」

 坂本という最高の仲間が、五輪という大舞台で戦う樋口と同部屋でそばにいてくれたことは心強かったに違いない。実際、4日に始まった団体戦から17日に終わった個人戦まで、樋口は、公式練習でも試合でも、非常に落ち着いていた。初五輪のひのき舞台に立てる喜びを味わって楽しもうとする様子も見えた。

 個人戦のSPは、トリプルアクセルを軽々ときれいに跳んだものの、連続ジャンプの2つ目のジャンプが回転不足になったり、スピンのひとつがレベル3になったり、3回転フリップにエッジ不明瞭と「q」マークがついたりと、得点をとりこぼす演技内容だった。それでも、73.51点をマークして5位発進となった。

「トリプルアクセルを跳ぶことが目標だったので、挑戦できてよかったなという気持ちでいます。だから、アクセルが決まった時はすごくうれしかったんですけど、点数が下がっちゃった原因がいろいろあったので、すごく悔しいです。団体戦からSPは2回目の本番で、すごく落ち着いて、緊張のなかでも自分らしく滑れたと思うので、すごく楽しかったです」