「僕でいいんですか?」から村元哉中&髙橋大輔が世界の表彰台を実現。ふたりの想いは「まだまだできる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【異例づくしの活躍】

 2022年1月、エストニア・タリン。四大陸選手権のアイスダンスで、"かなだい"と呼ばれる村元・髙橋組は、リズムダンスから72.43点を記録し、凛然と2位につけている。

 冒頭、タイミングがずれて村元が転倒するアクシデントはあったものの、その減点以外、『ソーラン節&琴』の世界観を存分に見せた。ミッドナイトブルースは日本選手歴代最高得点を出したワルシャワ杯をしのぐレベル4だった。ふたりのステップの広がりが、雄大な波のうねりと漁師の心意気を氷上に再現していた。ローテーショナルリフトもレベル4で、ツイズル、ミッドラインステップと観客を引き込んだ。

「一つひとつ丁寧に、を心掛けました」

 演技後、ふたりは同じ言葉で振り返ったが、昨年12月の全日本選手権での交錯からの転倒という悪夢を振り払っていた。カップルとして初のチャンピオンシップで、これだけ臆することのない演技ができる。それは大志を抱く者だけに許されるものだろう。

「何年経っても、覚えてもらえるダンサーになりたいです」

 村元はカップル結成の時、そう決意表明をしていた。

「アイスダンスをやりたい、と思ってもらえるカップルになりたいですね。今までは、(シングルから転向すると)『アイスダンスに逃げた』と見られるところがあったので。(自分たちの活躍で)ダンスに興味があって迷っている人がいたら、『そうじゃないよ』って伝えたいです。日本でもっとダンスが盛んになるように」

 スポーツ界で、「かなだい」はすでに大きなトピックになっている。アイスダンスの人気は確実に向上。村元は「超進化」と表現したが、本人たちが思っている以上の化学反応が起きているのだ。

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