「僕でいいんですか?」から村元哉中&髙橋大輔が世界の表彰台を実現。ふたりの想いは「まだまだできる」 (3ページ目)
フリーダンスも、かなだいは『ラ・バヤデール』で独自の世界を演出した。冒頭のコンビネーションスピンは、ふたりの色が溶け合う。ストレートラインリフトも華やかでレベル4を獲得し、リフトはほかふたつもレベル4だった。髙橋の肉体改造だけでなく、村元の熟練と度胸のなせる業か。緻密さとダイナミックさという矛盾をはらむ要素が同時に要求される競技に、ふたりは明朗に挑んでいた。スコアは109.48点で2位。トータルでも181.91点と、見事に銀メダルを獲得した。
結成2年目、転向2年目の選手が初のチャンピオンシップで、ISUシーズン世界ランキングで暫定ながら10位まで順位を上げ、日本勢史上最高位で表彰台に立つーー。異例づくしだ。
「昨シーズンから考えると、表彰台は想像もつかなかったです。シルバーメダリストになったうれしさの半面、悔しさもすごくあって。そんな自分にびっくりしています」
大会後、髙橋は戸惑いを口にしたが、その両面に本質があるかもしれない。
「やっぱりゴールドメダル、表彰台の真ん中に立つのを、ふたりでやってみたいというのは芽生えてきています。その先にもいろいろな景色が見られるんじゃないかなって。表彰台に上がると、そうした欲も感じています。(来季以降)どうなるかわからないですが、その先も楽しみなのかなとちょっと思っています」
髙橋はこれからも自身のなかにあるふたつの性格を力に変換し、スケーターの道を行くのだろう。言うまでもないが、今はひとりではない。村元とふたり、その世界は広がり続ける。
「(髙橋)大ちゃんと2位になれて、すごくうれしいです。その反面、まだまだ自分たちはできるっていう悔しい気持ちがあって」
村元は言う。ふたりの息はぴったりだ。
次は3月の世界選手権、かなだいが再び歴史を作る。
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