「自分は本当に幸せ者」。三原舞依、北京五輪落選から四大陸選手権を完全制覇 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【「自分は本当に幸せ者だな」】

 キス・アンド・クライに座った三原は、膝の上に乗せたゆるキャラ「なんぼーくん」をなでながら、得点発表を待った。祈るように手を組み、顔を伏せる。得点が出た瞬間、表情は崩れ、両腕を振り下ろした。フリーも1位の145.41点。嗚咽しながら、カメラへ向けて手を振った。

「みなさんに、お手紙をもらったり、絵を描いてもらったり、メッセージをもらって、自分は本当に幸せ者だなって。その方々が少しでも笑顔に、元気になってもらえる滑りがしたい、そう思うことで、四大陸も負けずに滑りきることができました。感謝の思いしかないです」

 三原らしい前向きでやさしい勝ち方だった。合計218.03点で、四大陸選手権を完全制覇。リンクに笑顔の花を咲かせた。

「スケートに出会って、私は本当に幸せで。スケートがあるから、自分らしくいられるって思う」

 まっすぐにスケートを生きてきた三原の祝祭である。

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