坂本花織、優勝しても不満顔。失速の原因となった雑念の正体とは (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田中宣明●撮影 photo by Tanaka Nobuaki

 ふたりの仲の良さは、外野から見ても際立っている。お互いが認め合い、まるで「対」のようにも映る。三原は一見か弱そうに映るが、非常に芯が強く、坂本は爛漫(らんまん)に見えるが、繊細さを潜ませている。スケーターとしても違うキャラクターのふたりが、表裏一体で共鳴し合っているのだ。

「(坂本)花織ちゃんのスピード感だったり、(スケートの)ダイナミックさはピカイチだと思っていて」

 三原自身が、坂本についてこう評している。

「花織ちゃんのようなパワーのあるジャンプは、私にはできません。復帰した直後、自分は貸切(練習)に参加せずに、しばらく一般営業で滑っていたんですが、中野先生から『貸切で滑ってみたら』と言ってもらえて。そこから花織ちゃんと一緒に滑る機会が増えてきました。それであらためて、昔からいい演技を間近で見られていたんだなって。私も頑張らないとって思いました。まだまだライバルとは言えないレベルですけど、花織ちゃんを見習って一緒にトップで滑れるように」

 最高のライバルは、その輝きを肌で感じていた。

 誰にもない個性をもつ坂本は、ひるむ必要などないのだろう。闊達(かったつ)で雄壮なスケーティングは比類がない。事実、2018年の平昌五輪では6位に入賞し、同年の全日本選手権では優勝した実力者だ。

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