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コーチ歴50年。フィギュアスケート界の名伯楽が語る「私の指導法」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 フィギュアスケート・コーチの役目は、スケートの技術を教えることです。しかし、それだけではありません。本番で実力を発揮するには、自分をどうコントロールすべきかを研究する心理学の要素が必要になります。バランスを失わないようにするにはどうすべきか、あるいは速い回転力を得るにはどうすべきかを研究するバイオメカニクス(生体力学)の要素も必要になります。どのスポーツでも言われる、いわゆる「心・技・体」をバランスよく鍛えることです。

 スポーツというのは自分で楽しんでいくものだと思います。だけど、競技生活は一人の人間の力だけでは成り立たない。大勢の人の力を借りて成り立つものです。われわれの時代はマンツーマンという言葉でひとくくりにしていましたけれど、今はもうマンツーマンではなく、一つのチームとして動かざるを得ません。

 そうやって時代が変わってきた中で、選手たちはどうしていくべきなのか。こういう言葉を使うのも、決めつけるのも好きじゃないですけれども、やはりいろいろなことに「感謝」することを忘れちゃならないでしょうね。フィギュアスケートのコーチはスケート技術を教えるだけではなく、「感謝」ができる人間を育てることも大きな仕事。そう思っているので、指導する上での苦労は言い始めたらきりがありません。

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