コーチ歴50年。フィギュアスケート界の名伯楽が語る「私の指導法」 (4ページ目)
その上で一番重要なのは、「氷って何だ」ということです。「氷って、こんなに滑っちゃうものなんだ」ということを体に覚えさせることは、ものすごく大切だと思っています。
氷の上を滑るというのは、日常生活の中にはないものです。陸上を走る経験は誰にでもあります。水泳もないといえばないかもしれませんが、水に浸かるということはあるじゃないですか。だけど、氷の上に立つということは生活の中にはほとんどない。だからまず、氷ってどんなものなのかということを体感させ、次に、どうやったら素直に立てるのかを感じてもらう。
立てるようになったら、体重移動をすると進むんだ、ということを教えていきます。しっかりと段階を踏んで素直に学ぶことができれば、後々、とても楽ですよね。自分の力で移動するのではない。自分の体重移動によって勝手に動いていっちゃうんだよ、ということを教えることが大切になります。そこで、「あっ、こんな感じで氷の上を移動していくんだ」ということを知った子どもたちは幸せです。
これが「スケーティング」というものです。
(つづく)
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