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【プロレス】元東スポ記者が語る棚橋弘至と中邑真輔、引退試合の相手オカダ・カズチカとの関係−−3人の物語は「まだまだ続いていく」 (4ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――相手として、中邑選手を期待するファンも多かったでしょうが、事情もあってということですね

柴田:そうですね。10月のWWE日本大会の前に、棚橋と中邑が会食する機会があったそうですが、ふたりでいろんな話をしたんじゃないでしょうか。オカダも安城大会を大いに盛り上げていましたから、引退試合も期待です。

――オカダ選手といえば、2012年2月12日の大阪大会で棚橋選手を下した"レインメーカー・ショック"の印象が強く残っています。柴田さんはあの試合の解説をされていましたね。

柴田:まさか、まだ若手のオカダがベルトを獲るとは思わなかったですね。試合が終わったあとに、放送席にいたみんなで長々と話をしたんですよ。ある解説者は「いきなりベルト獲っちゃうなんてあり得ない」と不満げでしたが、僕は「勝ったんだから、もうオカダの時代です。勝利こそが正義なんです」と熱く語った記憶があります。

――棚橋選手の引退によって、中邑選手やオカダ選手との物語も終わりを迎えてしまいそうで、寂しい思いがあります。

柴田:いえいえ。みんな次のステージに行くんですよ。棚橋は新日本で選手を全うしたし、今後は社長に専念する。ある意味、理想的なレスラー人生ですよ。中邑やオカダも、海外での挑戦が続く。プロレスという大きな世界のなかで、物語はまだまだ続いていくでしょう。

【引退試合、"棚橋社長"への期待】

――棚橋さんには引退後、まずは身体をゆっくり休めてほしいですね。

柴田:コンディションが悪すぎますからね。たぶん、ヒザの靱帯などはボロボロだと思います。本当は"生涯現役"でやりたかったでしょうけど、苦渋の決断だったんでしょう。

 ただ、今は社長業の勉強もしているし、また違う形でプロレスを支えてくれるはずです。新たな人脈も作っていますが、「いろんな会社のトップと話をすることは勉強になる」と、忙しい毎日を充実して過ごしているようです。棚橋は自分で"疲れたことがない男"と宣言していますけど、僕は顔を合わすたびに「疲れてない?」と聞くようにしているんです。その答えは、もちろん「疲れていません」。それを言う時に、一段と声が大きくなるんです(笑)。

――東京ドームでの引退試合は、どんな展開になると予想しますか?

柴田:久しぶりに、新日本が東京ドームの外野席を開放しましたね。2階の上のほうまで、たくさんのお客さんで埋め尽くされると思いますが、そこで全部出しきって、全部受けきってほしい。最後は、何も残らないほどに。悔いなく燃え尽きてほしいです。『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈のように"真っ白な灰"になる感じかな。いや、あそこまでいってはダメか(笑)。しっかりやり抜いて、無事にリングを降りてくれることを願っています。

【プロフィール】

柴田惣一(しばた・そういち)

1958年、愛知県岡崎市出身。学習院大学法学部卒業後、1982年に東京スポーツ新聞社に入社。以降プロレス取材に携わり、第二運動部長、東スポWEB編集長などを歴任。2015年に退社後は、ウェブサイト『プロレスTIME』『プロレスTODAY』の編集長に就任。現在はプロレス解説者として各メディアで記事を掲載。テレビ朝日『ワールドプロレスリング』で四半世紀を超えて解説を務める。ネクタイ評論家としても知られる。カツラ疑惑があり、自ら「大人のファンタジー」として話題を振りまいている。

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