山中慎介が「頭ひとつ抜けている」と語るバンタム級の日本人王者は? 井上尚弥との対戦が実現したら「極上のカード」 (4ページ目)
――中谷選手の骨格を考えると、さらに上の階級に上げることも考えられますか?
「中谷は現在26歳で、体つきもこれから少し大きくなるはず。現時点では、スーパーバンタム級が適正だと思いますが、フェザー級でも全然おかしくないですね。尚弥より上の階級にいっても不思議じゃないと思います。ボクシングも面白いですし、これからどこまで進化するのか楽しみな選手です。まだ天井が見えませんね」
――山中さんは中谷選手とマススパーを経験されていますが、どんな印象を持ちましたか?
「リーチがあって、懐がメチャクチャ深い。ストレートはもちろん、遠い距離から独特な軌道で飛んでくるロングフックが強いです。ストレート系の伸びで前に突き出すロングアッパーも得意ですね。しかも、近い距離もメチャクチャうまいんですよ。どの距離でも強いパンチが飛んでくると思うと、対応ができなくなります。強引に入っていっても、中谷は腕を折りたたんで突き上げてくるんです。あれをやられると相手は心が折れますよ(笑)」
――ロングでもショートでも、どちらでも勝負できるのが強みということですね。
「それが1番の強みでしょうね。2017年に、ユーリ阿久井(現WBAフライ級王者)をTKOで下しているんですが、その試合では距離を詰めて上から打ち下ろし、下からもガンガン突き上げていた。さらに、中谷は打たれ強いんです。もちろん尚弥のパンチだと危ないでしょうが、今後の伸びしろを考えても、とても期待できる選手ですね」
――中谷選手が一角を占める、バンタム級戦線が今後どう動くのか楽しみです。
「4人の王者たちと、那須川天心や比嘉、堤聖也らがどう絡むのか、バンタム級は相当熱いですね。しばらくは日本人選手を中心に動くことになるでしょうから、みなさんも注目してほしいです」
【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。
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