井上尚弥と中谷潤人が戦う可能性を、いとこの浩樹はどう見る? 自身の今後についても語った (4ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by 北川直樹

――試合の途中で、リングサイドで観戦していた尚弥選手からは、ジャブもっと突いたほうがいいというアドバイスもあったそうですね?

「確か、8ラウンド前後のことだったと思います。ジャブでポイントを取る考えが完全に頭から消えていたので、それを思い出させてくれましたが、ポイント差を覆すまではいきませんでした」

―――以前の浩樹選手のファイトスタイルからすると、気持ちを前面に出して打ち合うことは珍しいのでは?

「試合後、トレーナーの八重樫東さんらからは、『勝ちに徹するなら、ああいう感情はいらない』と言われました。そのとおりで、ポイントを稼ぐための戦い方をすれば試合の展開も変わっていたかもしれません。でも、続けて八重樫さんは『気持ちのまま戦う、打ち合う、そういう時もあるからボクシングは面白いんだよな』とも話していましたね」

――現役時代、真っ向から打ち合って「激闘王」と呼ばれた八重樫さんならではの話ですね。

「そうですね。負けましたが、とても価値のある試合になりました。逃げなかったことを誇りに思える試合ができたことを、何年か後に人生を振り返った時に、『あれがターニングポイントだったな』と思えるようにしたい。

 東京ドーム大会が終わったあと、僕もプレッシャーを感じていたからか、ちょっと体調を崩してしまって(笑)。たぶん、安堵したんだと思います。もちろん、もう何ともないですから、これから頑張りたいです」

【プロフィール】
■井上浩樹(いのうえ・こうき)

1992年5月11日生まれ、神奈川県座間市出身。身長178cm。いとこの井上尚弥・拓真と共に、ふたりの父である真吾さんの指導で小3からボクシングを始める。アマチュア戦績は130戦112勝(60KO)18敗で通算5冠。2015年12月に大橋ジムでプロデビュー。2019年4月に日本スーパーライト級王座、同年12月にWBOアジアパシフィック同級王座を獲得。2020年7月に日本同級タイトル戦で7回負傷TKO負けを喫し、引退を表明したが、2023年2月、約2年7カ月ぶりに復帰。同8月、WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座決定戦に勝利。2024年2月22日に、東京・後楽園ホールで、東洋太平洋同級王者・永田大士との王座統一戦に敗れた。19戦17勝(14KO)2敗。左ボクサーファイター。アニメやゲームが好きで、自他ともに認める「オタクボクサー」

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【写真】井上尚弥vsネリ 東京ドームの衝撃KOフォトギャラリー

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