井上尚弥のネリ対策の相手をした、いとこ・浩樹は「想定どおり」ダウン後の戦いは「人間離れしていて恐怖すら覚える」
井上浩樹選手インタビュー 前編
2024年5月6日、4万3000人の観衆を集めた東京ドームが揺れた。
メインイベントの世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦は、チャンピオンの井上尚弥(大橋)がルイス・ネリ(メキシコ)を6ラウンド1分22秒TKOで下して統一王座の初防衛に成功。初回に井上がダウンし、会場はどよめきと緊迫感に包まれたものの、その後は見事に立て直してネリを圧倒した。
その一戦を間近で見届けた、井上尚弥のいとこで元WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者の井上浩樹に、試合前の準備や、尚弥がプロ初のダウンを喫した瞬間、その後の立て直しについて聞いた。
井上尚弥がネリを沈めた最後の右 photo by 北川直樹この記事に関連する写真を見る
【尚弥のプロ初のダウンに「落ち着いて!」】
――まずは、あらためて試合の感想からお願いします。
「衝撃的な試合でしたね。勝利が決まった瞬間、僕も『ブラボー!』という感じで、ずっと拍手をしてました(笑)」
――入場時の布袋寅泰さんのギター演奏、花火などの演出も、これまでのボクシング興行ではあまり見られないものでした。浩樹選手はどのあたりにいましたか?
「4団体のベルトを持って歩くジム関係者の後ろをついていきました。会場が今までの何倍もの大きさで、ちょっと震えましたね。
あの爆破は、顔を背けてしまうくらい本当にビックリしました(笑)。一緒に入場した陣営も、誰も知らされていてなかったみたいです。尚弥さんは普段、不意のことに驚きやすいタイプなんですが、平然としていたのでかなり集中していたんでしょう」
――東京ドームという大舞台で、尚弥選手の表情や仕草から、これまでの試合と違いを感じることはありましたか?
「いつもと変わらない感じでした。より気合が入っているような気もしましたけど、それは試合が終わったあとだから言えることかもしれません。特に変わった様子はなかったと思いますよ」
――試合中、浩樹選手はどこで観戦したんですか?
「リングの下のセコンドの近く、ジムの陣営がいるところです」
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