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井上尚弥・拓真との試合後のカップラーメンも「解禁しようかと」井上浩樹が因縁の相手と統一戦へ (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【一度引退する前と復帰後の変化「今は苦しい思いをしたい」】

――対戦相手のアブドゥラスル・イスモリロフ(ウズベキスタン)はどんな選手でしたか?

「ウズベキスタンは『アマチュアボクシングの最強国』と言っても過言でないので、やはり強かった。新しくついてくれた鈴木(康弘)トレーナーは、ロンドン五輪のウェルター級日本代表でしたが、『ウズベキスタンの選手と3回戦ったことがあるけど、1回も勝ったことがない』と。その"敵討ち"と言ったら変ですが、一緒に勝とうという思いはありましたね」

――鈴木トレーナーがついてから、練習にどんな変化がありましたか?

「以前は、楽なほうに逃げてしまいがちでした。疲れたくない、苦しい思いをしたくないと。今は逆に、どんどん疲れたいというか、苦しい思いをしたくなっています。自分を追い込むことで、不安な部分がどんどん無くなっていく感覚です」

――2戦目も苦しいところからの逆転勝利。見ている側は大興奮の試合でした。

「激闘になって『感動した』『面白かった』と言ってもらえるのは、プロとしてすごくうれしいです。一方で、ボクサーとしての評価は上げられなかったかもしれないと思っていて。正直に言うと、もっと圧倒して、すんなり勝ちたかったです。でも、全部ひっくるめていい経験ができたとは思いましたね」

――SNSなどでは、尚弥選手のように相手を圧倒するパーフェクトな試合も魅力的だし、浩樹選手のように一度辞めてから這い上がってくる姿も応援したい、といった声も多く見られました。

「本当ですか! それはうれしいですね。プロである以上、試合を見て何かを感じてもらえるのが1番だと思うので。以前の僕は、どちらかというとリスクを避けるボクシングスタイルだったので、『感動した』などと言われることがあまりなかったんです。復帰2戦目でそういう反響があったのは本当にうれしい。『倒す』という気持ちを前面に出すことができたと思います」

――入場曲は、「Poppin'Party」(人気マンガ・アニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』の作中に登場するバンド)の『Breakthrough!』。試合のテーマにもBreakthrough、「打開」を掲げていましたが、それを体現した試合だったのでは?

「そうですね。一応、有言実行だったとは思います。"うまいボクシング"が通用しなかった時の選択肢も増えましたし、自分の殻をひとつ破れたんじゃないかと」

――約3年ぶりに戻ってきたWBOアジアパシフィック王座のベルト。その重みはいかがですか?

「僕は、あまりベルトにこだわりが無いんです。とにかく、『強い選手に勝てた』のが1番。ベルトは『賞状をもらえた』みたいな感じです」

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