【男子バレー】石川祐希が振り返る世界バレー、衝撃の黒星発進「こういう経験で成長するしかない」 (2ページ目)
【「見たことがないタイプ」のサーブ】
彼は常に勝負と向き合っている。イタリアという、相手との駆け引きがたえず行なわれる国で、その感覚は磨かれたのだろう。コートでの適応力が問われるからこそ、トルコ戦の出来には悔しさも募るはずだ。
「どんな状況でも、自分たちのパフォーマンスを出さなければなりません。今日は相手が僕たち以上のパフォーマンスを出してきて、それに対して、それ以上を出せなかった。それは僕たちの課題で、乗り越えないと」
石川は現実から逃げない。乗り越えることで、進化を遂げる。世界バレー直前、ブルガリア、イタリアと戦い、あえて「自分たちはまだ強くない」と警告したのは、"発展途上"だと感じていたからだろう。
トルコ戦は、わずかな亀裂のようなものが大きく作用した。亀裂は運とも言い換えられる。たとえば、ブロックに当たったボールをトルコがつなげるシーンが意外なほど多くあった。それは相応のポジショニングをしていたから防げたのだろうし、研究の成果でもあるのだろうが、トルコにラッキーボールが多かったのも間違いない。
そしてトルコには、亀裂を抉(えぐ)る厄介なサーバー、ラマザン・マンディラーチがいた。エース5本。多くの選手が「見たことがないタイプ」と言うサーブで襲いかかってきた。
「回転もスピードも、両方とも難しくて、回転があまりかかっていない速いフローターサーブみたいな感じでした。映像でも見ていましたが、映像よりも速くて。4枚(レシーバーに)入れても難しかったので......」
リベロの山本智大が解説してくれたように、日本はセット中盤までは拮抗しながら、そのサーブで流れを奪われていた。
そうした現象はどんなスポーツでも起こり得る。特にトルコは、サッカーでもバスケットボールでも、ボールゲームでは勢いに乗った時は天を衝く勢いになる。一方で、心が折れるのも早く、呆気なく崩れるキャラクターも持っているのだが......。
この日は日本にとって、すべてが"凶"と出た。
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