髙橋藍「なぜ勝負強さを見せられなかったのか」 サンバーズ、アジア王者決定戦は3位に
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)、サントリーサンバーズ大阪は、準決勝でカタールのアル・ラーヤンにセットカウント2-3(25-22、22-25、25-23、23-25、15-17)と、フルセットの末に涙をのんでいる。
「Disappointed」
サンバーズのオリビエ・キャットヘッドコーチ(HC)は、「失望した」という表現で試合を締めくくった。通訳は柔らかく「残念」と訳したが、落胆する結果だったことは間違いない。
サンバーズは昨年12月の天皇杯で優勝、SVリーグ初代王者にも輝き、二冠を達成していた。今年12月に開催予定の世界クラブ選手権出場は至上命題だったが、あと一歩で世界への道を断たれたのだ(ACL2位までが出場権を獲得)。
「予想どおり、苦戦を強いられました。日本のバレーはミスが少なく、ポイントも拮抗して、その流れを我々は理解し、重要な局面で攻撃を決められました」
アル・ラーヤンのセルジオ・クーニャHCはサンバーズの戦いぶりに賞賛を送った。だがなぜ、サンバーズは今シーズン見せてきた"勝負強さ"を見せられなかったのか?
アジアチャンピオンズリーグで3位となったサントリーサンバーズ大阪の選手たち photo by Naoki Morita/AFLO SPORT この記事に関連する写真を見る 5月17日、京都。サンバーズは立ち上がりから後手に回っていた。いきなり、ニミル・アブデルアジズの強烈なサーブにエースを奪われている。
アル・ラーヤンは資金力にものを言わせ、ACL用に有力選手を揃えていた(ACLだけのスポット契約も可能)。元ウルフドッグス名古屋でSVリーグの初代MVPに輝いたオランダ代表ニミルを筆頭に、同じく元ウルフドッグスのスロベニア代表ティネ・ウルナウトなど各国代表選手を補強。きわめつけはマリ代表ノーモリー・ケイタで、イタリア、セリエAでも活躍したアウトサイドヒッターだ。
1セット目、サンバーズは「サーブで崩し、ブロックで優位に立つ」という本来の形を作れず、ニミルやケイタの荒々しいアタックに終盤までリードを許した。しかし、粘り強く戦い続ける。そして最後は甲斐孝太郎が左腕を振ってエースを決め、22-25と逆転で競り勝った。悪い流れに引きずられず、選手層の厚さを見せ、自分たちのバレーを取り戻した。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。