髙橋藍「なぜ勝負強さを見せられなかったのか」 サンバーズ、アジア王者決定戦は3位に (2ページ目)
【勝負の分かれ目となったのは......】
サンバーズにとって、勝負のひとつの潮目は2セット目の中盤だったか。
序盤からケイタ、ニミルという"2門の大砲"に苦しみ、6-10とリードされる。しかし、髙橋藍がサーブのターンで確実に崩す。相手の嫌なポイントに打ち込み、ブロックを旋回させ、連続ブレイクで同点に追いついた。だがその後、小さなミスが出て、再び13-17と差をつけられてしまった。結果、22-25と落とした。
「残念なのは(チャンピオンシップ)ファイナルのあとから、リフレッシュするのに十分な時間がなかったことです。今日は、いつもはしないミスが出ました。簡単なボールを集中して処理できなかったのは、時間のなさが影響したのかもしれません」
キャットHCの言葉どおり、王者にはチャンピオンシップの時の神がかった集中が見られなかった。もっとも、それを求めるのも酷だろう。
もうひとつ、潮目はあった。
3セット目の最後のシーン、サンバーズは25-23でものにしたのだが、判定を巡ってアル・ラーヤンの選手たちがレフェリーに声を荒げた。ニミルが詰め寄る場面もあり、選手たちが平常心を失っていた。個は桁外れだったが、急造軍団は窮地に立たされた。
4セット目は一気に流れがサンバーズに傾く、と思われた。実際、序盤は10-7とリードし、髙橋のブロックの裏をかいた得点など、見事だった。ところが、またも小さなミスが出てサイドアウトをとれず、一気に同点に追いつかれる。その後も拮抗するが、ニミルの"砲弾"が炸裂するたびに勢いが削がれ、23-25で奪われている。
サンバーズは相手の弱みにつけ込めなかった。強者特有のしたたかさ、獰猛さを欠いていた。
「経験の差が出たのかな、とは思っています」
髙橋はそう言って、試合を振り返っている。
「オレク(アレクサンデル・シリフカ)、ディマ(ドミトリー・ムセルスキー)は取るべきポイントにフォーカスできていて、"自分たちのバレーを出す"ところができていましたが......。SVリーグとは違う緊張感もあり、相手を意識しすぎたのかもしれません。ニミル、ケイタという世界のトッププレーヤーがいたことで、自分たちのバレーを見失う場面もあって。今シーズンは大一番に強いサンバーズで、どんな相手でも"自分たちのバレーを突きとおせるか"でしたが......」
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