髙橋藍が語るアジア王者、そして世界一への道のり サンバーズ、準決勝は強敵と対戦
5月15日、京都。SVリーグ初代王者に輝いたサントリーサンバーズ大阪は、すでに新たな一歩を記していた。
記念すべき第1回目のアジアチャンピオンズリーグ(1999年にアジアクラブ選手権として発足し、今回リニューアル)に参戦し、アジア制覇を目指している。大阪でのグループステージでは、オーストラリアのクイーンズランド・パイレーツ、カザフスタンのアクトべに3-0とストレートで連勝。SVリーグチャンピオンシップの激闘で強さが増したのか。主力をベンチに下げても、力の差は歴然だった。
この日の準々決勝でも、バーレーンのムハッラク・クラブを3-0のストレートで下した。順当な準決勝進出だった。
「SVリーグは盛り上がっていたので、自分も楽しかったです」
サンバーズの髙橋藍はそう言って笑顔を作り、新たに舵を切ったアジアチャンピオンズリーグの意義を語っている。
「今回は国際大会なので雰囲気も違い、日本で見られないバレーボールというか、パワーや高さがある選手との対戦で、日本のクラブチームが世界と戦う、その面白さを見せられると思っています。そこで結果を出せば、日本のレベルの高さも証明できるはず。アジアチャンピオンは世界につなげるもので」
サンバーズの戦いを通し、世界での日本バレーボールの"座標"が透けて見えた――。
アジアチャンピオンズリーグを戦っているサントリーサンバーズ大阪の髙橋藍photo by Naoki Morita/AFLO SPORTこの記事に関連する写真を見る 準々決勝の1セット目、サンバーズは思いのほか、もたついている。サーブで崩せず、ブロックもはまらない。サイドアウトは取るも、一進一退が続いた。デュースに持ち込まれ、結局は27-25でこのセットを奪ったが......。
「自分たちがミスを出して、リズムが悪いところはありました。相手の雰囲気、リズムに合わせてしまって......」
髙橋はそう振り返っている。第2セットも最後は突き放し、25?20で制したが、相手のペースに"お付き合い"していた。
「それで3セット目からは、"自分たちのバレーを出していく"というのを再確認しました。自分たちから得点を取りにいく、というアグレッシブさが足りなかったんじゃないかなって。ただ、(1、2セットも)終盤でのポイントは取れていましたし、だからこそ競り合っていても最後に取りきることができました。取らないといけないポイントは取れていたのかなと思います」
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。