【ハイキュー‼×SVリーグ】東京GB後藤陸翔は同級生・髙橋藍の背中を追いかけて 星海光来と重ねる強大な敵との戦い
東京グレートベアーズ 後藤陸翔
(連載35:東京GB戸嵜嵩大は難病を乗り越え、憧れの柳田将洋と同じプロに 迷いを振り払った及川徹の言葉とは?>>)この記事に関連する写真を見る
「高校のバレーボール部が自主性を求められるチームで、純粋な戦術だけじゃなく、『どんなプレーをしたら相手が嫌か』なども考えていました。そうじゃないと試合に勝てない。それが積み重なって、今につながっていると思います」
後藤陸翔(23歳)は、ルーキーとは思えないほど理路整然と自己分析した。身長は187cmと、男子バレーのアウトサイドヒッターとしては小柄なほう。顔つきも柔和だが、コートでは図太く、したたか。それが、大卒1年目ながらSVリーグで戦えている理由だ。
昨年11月、サントリーサンバーズ大阪とのフルセットの激戦では、15得点と勝利に貢献。感極まって涙も流した。それだけ勝負に熱い。
試合を報じるニュースでは、「(髙橋)藍だけじゃないんだぞ」という後藤の言葉が見出しを飾った。髙橋とは同級生で、高校時代には選抜チームでもともに戦った。ふたりは試合後に記念撮影し、旧交を温めたという。
「藍が海外に行って、日本代表で活躍しているのは刺激になりますね。その背中を追いかけている、という感じもあります。(昨年11月の試合でも)高いブロックへの工夫が見えて『慣れているな』と思いましたし、ディフェンス力もあらためてすごいと実感しました」
後藤はライバルを観察し、リスペクトする。一方で、「負けない」という気概もある。
彼がバレーと出会ったのは、偶然だった。小学3年になった時に、ドッジボール部に入るつもりで友達と練習を見学に行ったが、その日はたまたま休み。すると、隣で練習していたバレー部の部員に勘違いされ、引き入れられた。母親がママさんバレーを、姉もバレーをやっていたため"免疫"はあったというが......。
「実際にやったら、新鮮で楽しかったです。レシーブをしたりボールを打ったり、先輩たちがスパイクを打つのを見て、『かっこいい! ああなりたい』と思いました。最初は遊びでしたが、厳しくなかったのがよかったです」
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。