西田有志は髙橋藍を「常に狙っていた」SVリーグ開幕戦、サントリーvs大阪ブルテオンで2人が散らした火花 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【髙橋はよりチームとのフィットを】

 忸怩(じくじ)たる思いを語った髙橋は、"勝負の勘"に優れている。それだけに、勝ち筋を見つけられない戦いに身悶えしていたのだろう。それでも、パイプを決め、ブロックに成功し、「ディフェンス力が違う」とチームメイトたちに絶賛される力も誇示した。反応の早さで自らのブロックをフォローする機敏さもあった。

 髙橋は昨シーズンまで、イタリア・セリエAでプレーしていた。そこでプレーオフ決勝を戦い、サンバーズでは"助っ人外国人"のような存在とも言える。同時に、それは彼がチームに適応し、周りもフィットする必要があることも意味していた。

 開幕直前、髙橋はこう語っていた。

「オポジットに(ドミトリー・)ムセルスキーというエースがいるので、自分の役割はディフェンスに向いていくのかな、と思います。ムセルスキーがブロックするだけで変わってくる。誰を基準にチームを回していくか、もっと慣れていって、楽に試合を展開できるようにしたい」

真価が見えるのは先の話だ。

 この日、「2人の物語」は十分に濃厚だった。ただ、他のキャストの魅力に気づいた人も少なくないだろう。その熱が、各地で火ぶたを切るSVリーグの試合にどんどん伝播していけば――。

 10月14日、サンバーズとブルテオンは再び相まみえる。対決の地は両チームの地元、大阪。2人のスターの輝きのなか、他の星もきらめき出す。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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