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がん公表の藤井直伸にチームの枠を超えたエール。五輪を戦った大塚達宣、清水邦広も「少しでもパワーを送れたら」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

五輪に出場した2人からもエール

 一方のパナソニックからも、多くの激励の言葉が贈られた。

 現役大学生(早稲田大3年)としてVリーグに参戦する大塚達宣は、昨年のネーションズリーグで初めてシニア代表として国際大会を経験。この時に藤井と同部屋になり、「本当にたくさんのことを教えてもらって、助けてもらった」という。

「僕たちが藤井選手にできることは限られていると思います。ただ、今は頑張って前を向いて過ごされていると思うので、その分も僕たちはバレーボールを思い切ってやること、自分たちがやれることを全部やることが一番なんじゃないかなと思っています」

 長らく男子バレー界をけん引してきた清水邦広は、東京五輪では藤井と「2枚替え」で途中出場することが多かった。清水の東京五輪でのスパイク決定率は70%以上。それだけ息のあったコンビを作り上げていた。

「世間に公表することはなかなか勇気がいること。僕たちは医者ではないですし、治せる力があるわけではありません。できることは、電話をしたり、会いに行ったりすることくらい。でも、他愛もない話をして、少しでも楽しい時間を過ごしてもらうことも大事になるんじゃないかと思っています。

 僕も怪我をするたびに、たくさんの千羽鶴をいただきましたが、今回は自分が贈る側になった。選手だけでなく、いろんな人がエールを贈りたい一心で折りました。この先も、少しでも僕たちからパワーを送れたらと思います」

 藤井はがんを公表した次のSNSの投稿で、丸坊主にした同期たちの写真を載せて「剃りが甘い」と冗談も交えながら感謝の言葉をつづった。そこに添えられていたハッシュタグ「#心はひとつ」が合言葉になり、イタリアで戦う石川祐希や西田有志をはじめ、さまざまな選手やバレーボール関係者がこのハッシュタグを使ってエールを送っている。3月5日、6日の試合でも、持参のグッズに「心はひとつ」と書き込んで掲げるファンが多かった。

 5日の試合で東レは20勝目を挙げた。藤井の背番号である「21」勝まであとひとつ。その先も、チームは優勝のために突き進む。

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