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錦織圭に引退を伝えたら「うそだーー」 土居美咲は「一番好きな選手。ずっとずっと応援しています」

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

錦織圭という奇跡【第22回】
土居美咲の視点(3)

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「私、見ていて一番面白いと思うのが、圭くんの試合だと思います」

 世界ランキング30位、オリンピック出場2回、2016年ウインブルドン・ベスト16。現在34歳の土居美咲さんは、錦織圭と同時代をツアーで過ごし、戦いの舞台や空間を共有した、かつての日本女子テニスの牽引役だ。

土居美咲さんが「今の錦織圭に言いたいこと」とは? photo by Miki Sano土居美咲さんが「今の錦織圭に言いたいこと」とは? photo by Miki Sanoこの記事に関連する写真を見る 2023年10月にキャリアに幕を引き、今は解説者や指導者として活躍中。そんな彼女は、「世界中の名だたる選手たちの中でも、圭くんが一番、見るのが好きな選手」だとうれしそうに言った。 

「空間の使い方がめちゃくちゃうまい。次に何が来るかわからない。予測できないプレーをするので、見ていて楽しいんだと思います」

 錦織の魅力をそう語る土居さんは、ふと思い出したように「そういえば!」と声のトーンを上げ、次のような思い出を話し始めた。

「実は私、一度だけ圭くんとポイント練習をしたことがあるんですよ。どういう経緯かはあまり覚えていないんですが、NTC(ナショナルトレーニングセンター)で練習していた時に、圭くんから『やろうよ』と声をかけてもらって。それでたしか、タイブレーク(7ポイント先取)をやりました。

 その時のことで鮮明に覚えているのが、『すべて圭くんに見透かされてる』という感覚なんです。もてあそばれているというか、見抜かれているというか......。

 こっちがやろうとしていることが全部、バレてるみたいに感じたんですね。逆に圭くんは、どこからでもエースを取れるという雰囲気を醸し出すので、こちらはどんどん追い詰められていく。

 ショットで言うと、やっぱりフォアハンドですね。私自身、圭くんのフォアを参考にしていたので、なおのことそのすごさを身をもって感じたんだと思います。

 とにかく、懐(ふところ)が深い。ラケットを引いて構えた時、どこにボールが飛んでくるのか、本当にぜんぜん読めないんです。しっかり体をひねってタメを作り、打つ直前まで体が開かず打つコースを隠している。だから圭くんが構えると、『次に何が来るんだろう!』とワクワクするんだと思います。

 しかも、そこからのショットが多彩ですよね。こちらとしては、どこに打たれるかわからないので下がって対応しようとすると、今度はドロップショットでやられる。そういうゲームメイクのセンスが、本当に飛び抜けているんです」

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著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

【写真】日本女子テニス「6人のティーンエイジャー」フォトギャラリー

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