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「もう終わった」の声を一蹴。フェデラーはまだ進化していた! (4ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 さらには、コート上の偉業にばかり目が行きがちであるが、選手評議会の会長を2008年から今年まで務めた事実も忘れてはいけない。任期中にツアー期間の短縮や賞金増額を実現させるなど、選手の地位向上に果たした役割は計り知れない。

「テニス界が生んだ最高の芸術品」とまで呼ばれるフェデラーは、同時に最大のテニスファンであり、テニスの伝統と歴史への敬愛者であり、この競技が持つ魅力の体現者であり、そして、未来の発展を望む識者でもあるのだ。

 そんなフェデラーの「今」を分析する、サンプラスの視点が興味深い。

「新しいラケットに変えて、彼は自信を深めたと思う。僕はロジャーのキャリアをずっと追ってきたので、彼がどのようなプレイで多くのタイトルを取ってきたのか知っている。今、ロジャーは再び、より攻撃的に、より前に出ていくテニスをするべきだと感じたのだろう」

 新しいテクノロジーを取り入れることにより、立ちかえり、取り戻した最強時代のスタイル――。温故知新的なアプローチで築く現在のテニスこそ、フェデラーというアスリートの、テニスへの姿勢そのものではないだろうか?

 サンプラスは、「ロジャーは、少なくともまだ2~3年はプレイし続けるだろう」と予測する。

 フェデラーはウインブルドンの決勝戦後、ファンに「来年も会おう」と約束した。

「ミスター・パーフェクト」が、完璧の上を追い求める姿を見られる我々は、幸せ者である。


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