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ナダル&ジョコビッチが語る「錦織圭、全仏大躍進の可能性」 (3ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 対して、ナダルより1歳若く、ナダルよりも「ビッグ4」の地位に座した時間も短いジョコビッチは、錦織ら新世代の挑戦を、どこか楽しみにしている風がある。

「新しい選手が台頭してくるのは、テニス界全体にとって良いことだよ。ケイはマドリッドの決勝で、人生最高のテニスをしていた。ケガをしたのは本当に残念。ディミトロフやラオニッチも良いプレイをしているし、新顔が大きな大会で上がってくるのは楽しみだ」

 同時にジョコビッチは、冷静に現状を分析した上で、後進への警戒心も深めている。

「たしかに今、テニス界は転換期に差し掛かっている。新しい選手がトップ15やトップ10に入ってきているしね。でも、最も難しいのが、その先の『トップ5』に入っていくことだ。5位以内に入るには、常に高いレベルを維持し、ケガにも強くなくてはいけない。もちろん、ディミトロフ、ラオニッチ、そして錦織は非常に優れた選手たちだ。彼らが僕らにとって、脅威であることは間違いない」

 今季から錦織のコーチを務め、17歳の時に全仏オープンで史上最年少優勝を果たしたマイケル・チャンは、香港の地元紙の取材で錦織の可能性を次のように語っている。

「グランドスラムの優勝は、十分に可能なことだ。ケイはこれまでに、グランドスラム優勝者や準優勝者を倒している。その経験は、『彼らを倒せたのだから、俺だって彼らと同じような成果を挙げられるはずだ』という自信をケイに与えるだろう。ケイはここまで、素晴らしいクレーコートシーズンを送ってきた。バルセロナで優勝し、マドリッドでは準優勝。できることなら、その歩みの中から、より多くの武器を自分の物にしてほしい」

 もしチャンが、自分の願いが錦織に届くか否かに気を揉んでいるようなら、それはまず、杞憂だろう。そのような師の願いは、錦織の心身隅々にまで沁み渡っていることが、先週の電話会見での言葉からも伝わってきたからである。

「マイケルのアドバイスのお陰で、僕のテニスも変わってきています。フォアとバックの両方で、コートに入って打ち切ることができるようになった。それに今回(マドリッド大会で)特に感じたのは、大切なポイントで落ち着いてプレイできるようになり、無駄なミスがなくなったこと。これは集中力や経験も大きいと思います」

 5月25日に開幕する全仏オープンに向けても、錦織は次のように自分への期待感を口にした。

「クレーで結果が出ているので、全仏は楽しみ。ケガ(股関節やでん部)を治すのが一番ですが、ベスト8やベスト4に入るのが、まずは目標です」

 錦織自身が楽しみにする全仏での活躍を、今や世界も、心待ちにしている。

 錦織のレビューを書くため奔走した『レキップ』の記者も、次は大会期間中に「ニシコリ躍進!」の記事を書くことを、楽しみにしていることだろう。


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