錦織圭、トップ10入りの秘訣は「M・チャン式ドリル練習」
「まだ10位の実力はついてないと思います。20番くらいかなと正直思っているので......。今の順位を守っていけば自信はついていくと思うけれど、それには時間が必要だし、プレイの内容も伴わないと」
錦織圭がそのように口にしたのは、今から約11ヵ月前の2013年6月。ウインブルドン開幕を控え、ランキングが13位へ上昇したころのことだった。シーズン当初から掲げていたトップ10に限りなく肉薄し、6月から7月にかけて、一時はランキング11位まで到達。ニューフェイスの台頭に、世界中のテニス関係者たちは色めき立った。
全仏オープンを迎える前に世界トップ10入りを果たした錦織圭 だが、当の本人は、表示される数字と自己認識に乖離(かいり)を抱え、戸惑いや居心地の悪さすら覚えているようだった。8月には、カナダのマスターズ1000で「これに勝てばトップ10」という一戦を迎えるも、それに敗れると、以降はシンシナティのマスターズ1000、そして全米オープンで立て続けに初戦敗退を喫した。
「活気が沸いてこない。こんなことは、テニスをやっていて初めて......」
そんな本人の言葉を待つまでもなく、錦織の異変は、誰の目にも明らかだった。
錦織を公私ともに誰よりも知る父の清志さんが、我が子の異変に気づいたのは、それよりもさらに早いウインブルドンのころだったという。3回戦までは危なげなく勝ち上がったものの、イタリアのアンドレアス・セッピに逆転負けして終えた大会だ。
「プレッシャーがあると、ここまで魅力に欠けたプレイになってしまうのか......」
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