ラグビーW杯メンバーでサプライズ 4年間で出場1試合だけのレメキが選出された理由 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【落選した山中が心境を語った】

 山中の落選についても、ジョセフHCは丁寧に説明した。

「ワールドカップの規定(選出人数33名)なので、誰かをあきらめないといけない。FBのファーストチョイスは松島だ。さらに、チームが勝ち上がって毎週負傷者が出ても、マシレワとレメキがいればそのカバーはできる。

 この数年、日本代表のためにたくさんプレーしてくれた山中のようなすばらしい選手がセレクションから外れたのは、本当にアンラッキーだった。私たちがリスペクトしている選手であることは変わらない。

 山中はFBとして評価している。だが、10番としては評価できない。練習で少しプレーしただけでいいわけではない。だから、彼を連れて行って適切な準備もなしにプレーさせるのは、彼にとってフェアなことだとは思えない。そして残念ながら、その準備はできなかった」

 指揮官として、苦渋の選択だったことがうかがえる。

「今大会で日本代表は最後」と公言していた山中は、今回の落選を受けて自身のX(旧Twitter)で心境を述べた

「この1週間いろいろ考えて このまま諦めるのは性に合わないので 山中は、2027年のワールドカップを目指します。自分に何が足りなかったのか。もう一度自分を見つめ直す。年齢とかそんなん関係ない。できるできへんじゃなくて やるかやらんか。ラグビー人生、第3章のスタートです。」(原文ママ)

 今回のワールドカップ登録メンバー発表では、悲喜こもごものドラマがあった。山中が「代表のメンバーのことが大好きです。選ばれたメンバーは怪我なく いい結果を残せるように頑張って!」とエールを送ったように、選ばれた選手はメンバー外になった彼らの思いを胸に、前回大会の結果を越えるべくワールドカップ本番に臨んでいく。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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