ラグビーW杯メンバーでサプライズ 4年間で出場1試合だけのレメキが選出された理由 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【最終スコッドに滑り込んだ2名】

 スペシャリストである左右のPR、HO、そして9番SHと10番SOのハーフ団、計5つのポジションで3人ずつ選ぶとすでに15名。残り6つのポジションは18名でカバーしなければならない。

 今大会はフランスで開催されるため、ケガ人が出た時もポジションの補充に時間がかかる。そのため、残り6つのポジションに関してジョセフHCは「ひとつのポジションに専念しながらも、別のポジションでもプレーできる能力を持つ選手を選んだ」と語る。つまり、前回のワールドカップでも重視した「ヴァーサティリティ(万能性)」を評価したセレクションとなった。

 そのような背景もあって、今回の選出において「最大のサプライズ」となったのが、第二次ジョセフ体制(2019年ワールドカップ後)で2年前(2021年10月vsオーストラリア戦)に1試合しか出場していないWTBレメキ ロマノ ラヴァが最終スコッドに滑り込んだことだ。

 また、今年7月のオールブラックスXV戦で25分しか出場していないSO/FB小倉順平も、FBでプレー可能な「3人目のSO」としてスコッド入りした。

 その一方で、驚きの落選もあった。この3年間ずっとコンスタントに出場してきたベテランFB山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ/35歳)が憂き目を見たことだ。

 このサプライズ選出と落選に関して、ジョセフHCはしっかりと理由を答えた。まず、レメキを選んだ理由について。

「レメキは前回のワールドカップ以降、日本代表としてほとんどプレーしていないが、グリーンロケッツ東葛ではSO、FB、CTBとしてチームを支えていた。マシレワはWTBもFBもできるし、長田もWTBやCTBでプレーしている。ワールドカップで真価を発揮するのは、彼らの高いヴァーサティリティである。私たちが求めているのは、そういう選手なのです」

 セブンズ日本代表としてリオ五輪で大活躍したのち、レメキは15人制に専念して前回のワールドカップで活躍した。その後、選出されなかった時期は「自分は代表でWTBとしか見られていないので、代表に戻るにはいいプレーが必要」と答えていたが、昨季はFBを中心に躍動したことにより、さまざまなポジションをカバーできる選手として再評価されたわけだ。

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