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来日したラグビー世界トップ選手の存在感。ボーデン・バレットの涙 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 プレーオフ準決勝のクボタ戦では、ハイパントキックやロングキックだけでなくドロップゴールを決めるなど、バリエーション豊かな技を披露して勝利に貢献。迎えた決勝のバナソニック戦でも、積極的に仕掛けて3トライに寄与した。しかし、プレースキックのミスも重なり、優勝に一歩届かなかった。

「(サントリーでのプレーは)本当に楽しかったです。最後に仕事を成し遂げられなかった。それがただただ、悔しく、残念です」

 ノーサイド直後、バレットは人目をはばからず、涙を流した。

「非常に有意義な日々を過ごすことができた。優勝はできませんでしたが、すばらしいシーズンでした。トップリーグはスピード、スキルレベルが高くて(プレーしていて)好きでした。ここで学んだことをNZに持ち帰って生かしたい」

 今後、バレットは2023年ワールドカップまでNZでプレーする予定だが、「また、すぐに再会しましょう」という言葉で締めくくった。

 もうひとり、今季のトップリーグを盛り上げてくれたオールブラックスの選手がいる。チーム初のベスト8進出を果たし、まさに「台風の目」となったNTTドコモのSH(スクラムハーフ)TJ・ペレナラだ。

「トップリーグは今、世界のなかで最も成長率が高い。2019年ワールドカップを含めた何度かの来日で、ずっと日本での経験が忘れられなくて......。僕は日本のラグビーのスタイルと文化に興味があり、(NZの先住民族の)マオリと日本の生活はとても似通ったものであるとわかった」

 ペレナラはオールブラックスが試合前に踊る「ハカ」の先導役としても知られている。その役目を託されていることでもわかるように、ペナレラは常にハードワークを怠らないだけでなく、味方選手とコミュニケーションを取り続けてチームを鼓舞した。

 南アフリカ出身の世界的名将ヨハン・アッカーマンHC(ヘッドコーチ)がNTTドコモを強化したことも大きかっただろう。勝負どころでの活躍ぶりは「ペレナラ劇場」と呼ばれるほど、そのインパクトはバレットと並ぶものだった。

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