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スーパースターたちがなぜ続々と来日?
日本でラグビーをする貴重な価値 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji


 そのなかでも注目したいのは、現在29歳でともに同い年のレタリックとバレットだ。このふたりは代表引退を宣言しているわけではなく、もちろん今でもオールブラックスに必要な選手である。

 国によって例外はあるが、ニュージーランドやオーストラリア、イングランド、ウェールズなどでは基本的に、自国のチームでプレーしていなければその国の代表になれない。つまり、海外のチームでプレーするのならば、代表チームには呼ばれないという選択を迫られる。

 とくにニュージーランドの選手は、クラブチームと契約する前にニュージーランド協会と契約するシステムとなっている。名誉ある「オールブラックス」の称号を得るためには、このシステムを避けては通れない。

 バレットも昨年、ニュージーランド協会と4年契約を結んだ。ただ、その時の契約には「2021年はサバティカルを認める」という条項が入っていた。

「サバティカル(sabbatical)」とは もともと研究休暇や長期契約者向けの長期休暇という意味で使われる。これは、ニュージーランド協会がオールブラックスのトップ選手の海外流出を止めるために、リフレッシュや金銭的な理由で1年ほど海外でのプレーを認めるという制度である。

 カーターも2009年、サバティカルを利用してフランスリーグでプレーしている。今年パナソニックでプレーした108キャップを誇るLOサム・ホワイトロックもサバティカルを利用して来日し、シーズン後にニュージーランドに戻っていった。レタリックも神戸製鋼でプレーしたあと、母国に復帰する予定だ。

 バレットも2021年にサントリーでプレーしたのち、再びブルーズに戻ってオールブラックスに復帰し、2023年のW杯に挑むつもりだろう。

 ニュージーランド協会のプロラグビー&パフォーマンス担当クリス・レンドラム氏はこう語る。

「バレットの契約は、レタリックやホワイトロックのものと似ている。(サバティカルによってオールブラックスの)トップ選手がニュージーランド協会との契約を残したまま、リフレッシュのために違う環境でプレーできるのは、長い目でみれば、協会にとっても選手にとってもすばらしいこと」

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