韓国出身の巨漢プロップ・具智元は
ラグビー日本代表の秘密兵器となるか (4ページ目)
フィールドプレーと呼ばれるセットプレー(スクラムなどの攻防の起点)以外のシーンでも強さを発揮。チーム最多タイの10本のタックルを放った。
攻撃でも突進役として、何度も相手の防御壁を破った。コンタクトの時、しばしばスキルの高い相手が具を引っ張り込んで球をもぎ取りそうになったが、それは具がその選手に当たり勝ったからこそ起きたことだった。
そしてノーサイド。48-21。後半30分までフィールドに立っていた具は、チーム最多となるシーズン2勝目を素直に喜んだ。
長谷川は、具が秘める大きな可能性についてこう語る。
「いろいろな相手の組み方に慣れていって、先に仕掛けることができるようになれば、『しばらく日本にいい3番(右プロップ)が......』となるのですが。真面目で練習も一生懸命やるし、パワーもある」
さらに長谷川は、今季のスーパーラグビー開幕前に、こんな予言めいたことも口にしていた。
「いきなりチャンスがきたときに『準備していませんでした』と言う人もいれば、ずっと準備をして待っている選手もいる。ジウォンは待っているんでしょうね」
その言葉通り、ずっとチャンスを待っていた具は、ようやく訪れた機会に満点の回答で応えた。
2015年のW杯イングランド大会を経験した畠山健介や山下裕史が代表を離れているなか、群雄割拠の右プロップ争いに強烈なインパクトを与えた。
夏からは兄とともに父の前所属先であったホンダで、国内最高峰のトップリーグへの昇格を目指す。そして11月に行なわれる日本代表ツアーで、テストマッチデビューを狙う。
統括団体であるワールドラグビーは、2019年のW杯について、アジアでの競技普及というミッションを課している。韓国で生まれ日本で育った大器は、もしかしたら大会を象徴する選手になるかもしれない。
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