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韓国出身の巨漢プロップ・具智元は
ラグビー日本代表の秘密兵器となるか (3ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 シーズン開幕前、具はもがいていた。

「全然うまくいかないです。大学のときは足を後ろに下げても押せたんですけど、ここでは自分ひとりが動いたら崩れる。足を下げないように教えてもらっているんですけど......癖になっちゃっていて」

 なかなか白星を挙げられないチームにあって、具はベンチ入りすらできなかった。それどころか、練習中のケガで長期離脱を余儀なくされてしまう。今年6月に行なわれた日本代表の試合は、テレビ観戦するしかなかった。

「心配でした。みんないい経験をしていて......自分は間に合うのかなと」

 不安は自ら払拭するしかない。7月15日、シーズン最終節。具は本職の右プロップとしてスーパーラグビー初先発を果たした。

 リハビリ期間中、トレーニングをしっかり積んだことでコンディションは整っており、長谷川流のスクラムも反復練習によってものにしつつあった。対戦相手のブルーズの最前列にはニュージーランド代表勢が揃っていたが、具は心に誓った。

「海外はどこのチームも大きく、プレッシャーをかけてくる。でも、8人でまとまれば押せる。自分から押しにいって崩れるのではなく、相手が崩れるまで自分の姿勢を保つ」

 前半1分、ファーストスクラムの機会が訪れた。となりで組むフッカーの日野剛志と体を密着させ、足を下げずに組み合った。

「......いける」

 気温33度という蒸し暑いグラウンドで、長谷川流のスクラムをまっとうした。ブルーズのプレッシャーはあまり感じなかった。

「低い姿勢で8人まとまれば押せると思いました」

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