ヤマハ悲願の初優勝へ。五郎丸歩は「新ルーティン」なしのスタート

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 8月18日、ラグビーの日本最高峰リーグ「トップリーグ」が開幕戦を迎えた。オーストラリアやフランスでプレーした元日本代表FB(フルバック)五郎丸歩が1年半ぶりに復帰したヤマハ発動機ジュビロは、敵地・豊田スタジアムでトヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦。大雨の降りしきるなかでキックオフとなったゲームは、80分間フル出場した五郎丸がロングキックなどの持ち味を出し、14-11でヤマハ発動機が勝利を収めた。

五郎丸が2シーズンぶりにトップリーグに帰ってきた五郎丸が2シーズンぶりにトップリーグに帰ってきた この開幕戦の入場観客数は、なんと2万7871人。トップリーグが実数で計算し始めてからの最多観客数を更新した。ワールドカップ直後の2015年12月、五郎丸のプレー見たさに東京・秩父宮ラグビー場に集まった2万5164人を上回る新記録である。ただ今回は、当時感じられた「お祭り」的な雰囲気はまったくなく、メンバー発表時に「五郎丸歩」の名前が読み上げられても、そして五郎丸がボールを持っても、以前のような歓声はほとんどなかった。

 理由はスタンドの多くがトヨタ自動車のコーポレートカラーである赤色のビブスを着た観客で埋まっていたからだろう。もちろん、ヤマハ発動機や五郎丸目当てのファンもいたが、多くはトヨタ自動車と2019年ワールドカップの開催都市である豊田市が本腰を入れて、トップリーグの開幕戦を盛り上げようと動員面でがんばった結果だ(トヨタ自動車が8月20日までお盆休みだったことも大きかったかもしれない)。五郎丸が「ラグビーでこれだけ多くの方に観に来ていただけるのは、なかなかないことですし、悪天候だったのですが、いい雰囲気、いい環境でできた」と振り返ったように、詰めかけた観客は大いに盛り上がった。

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