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【F1】角田裕毅はまたも戦略ミスで入賞ならず チームは「マシンの速さに浮かれて」欲を出した (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【鬼神の走りで追い上げた矢先に...】

 各チームとも残り40周以上をこのハード1セットで走りきることを模索し始めるなか、レーシングブルズが突然動いた。

 33周目にアジャ、そして35周目に角田がピットインし、2回目のピットストップを敢行。これで集団の最後尾まで後退したが、ライバルたちは誰ひとりとして動かなかった。レーシングブルズの2台だけが2ストップ作戦を採り、わざわざ自分たちから入賞圏外へと出て行ってしまったのだ。

 1回のピットストップで失うのは約24秒。これを残り21周で取り戻せなければ、損をして「戦略ミス」ということになる。新品タイヤに履き替えて1周で1秒以上速く走れるならそれも可能だが、24周古いタイヤを履くオコンとのペース差はそこまで大きくない。

 そして何より、オコンとの間には7台ものマシンが並び、この程度のタイヤ差ではオーバーテイクしていくことは容易ではない。そのたびにタイムロスを強いられる。

 それでも角田はあきらめず、せめて12秒前方の10位ガスリーを捕まえて1ポイントでも持ち帰ろうと、鬼神のような走りを見せた。

 ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)を抜き、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)の背後に迫ろうとした。その矢先、フロントウイングのフラップが突然、壊れて万事休す。ピットに戻ってノーズ交換をせざるを得ず、角田のレースは実質的にここで終わってしまった。

「入賞のチャンスは、なくはなかったと思います。難しかったとは思いますけど、せめて最後までしっかりと走りきりたかった。

 ペースは昨日のスプリントレースほどあったわけではなかったんですけど、1ポイントでもポイントは持ち帰ることはできたレースだったと思います。僕たちはそういうレースをするべきだった」

 そう言って、角田はチームの戦略ミスを責めたくなる気持ちをグッとこらえ、ミスそのものを責めるのではなく、ミスを生んでいる根本の原因を突き止めて改善しなければならないと口を結んだ。

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