【F1】角田裕毅が通算96戦目で片山右京を抜き歴代1位へ トップドライバーへと飛躍しなければならない
スペインの太陽は、燦々(さんさん)と強く降り注ぐ。今週末のバルセロナは連日気温30度超えで、それ以上に強い陽射しが暑さを強調する。
イモラから始まったヨーロッパラウンドの3連戦も、このバルセロナで終わりを迎える。
4月の鈴鹿で急遽レッドブル昇格が決まってから、慌ただしくここまで来た角田裕毅の道のりは、決して平坦なものではなかった。
角田裕毅はスペインGPで日本人最多96戦目の出場となる photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 特にイモラでは予選で大きなクラッシュを喫し、モナコでもチームとの齟齬(そご)でQ2敗退を喫し、決勝も棒に振ってしまった。いずれも予選で空回りをして、目立った結果が残せていない。
「あと100分の何秒、1000分の何秒というところの勝負で、トラックエボリューションの影響さえも生かしたいくらいの(究極の勝負の)場合には、マシンをナチュラルに感じ取ってドライビングできるレベルまでいく必要があります。
レーシングブルズで走っている時は、4年も走ってきてどんな状況でもだいたいクルマの100%を出しきれてきたと思います。でもレッドブルのクルマでは、僕的にはそのレベルに全然達していないです。全然クルマのことが理解できていないというか、自分自身が何も考えなくてもナチュラルに、自然と100%出しきれるようなレベルに達していません」
それはとにかく経験を積み、身体が覚えていくことでしか身につかないと、角田は繰り返し述べてきた。
だからこそ、イモラやモナコのように予選のQ3に到達する前に終わってしまうことは手痛い機会損失にもなる。
特にイモラでは大きなクラッシュを演じてしまっただけに、マックス・フェルスタッペンという強敵とのあまりの差を見せつけられたが、それで自信を失ったりはしていないと角田は言う。
「あのイモラでのクラッシュで、自分がこのマシンのことをどのくらい理解できていないのか、あらためて思い知らされました。そこがどれだけ重要か、少し甘く見ていたのかなと思います。
だから、あのクラッシュによって自信を失うとかそういうことはなくて、僕はまだまだ徐々に理解を深めていっている段階です。いずれはそういうところまで到達できるだろうと思っています」
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。