検索

【F1】無念の16位も、角田裕毅が力業で証明したレーシングブルズのポテンシャル 「中国GPでは中団トップのクルマ」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

F1第2戦・中国GPレビュー(前編)

 つかみかけた光明は、またしても逃げていった。

 上海で開催された第2戦・中国GP決勝。7位を走っていたはずのレーシングブルズと角田裕毅は、気づけば完走中最下位の19位まで転落し、ノーポイントでレースを終えた(レース後に上位3台が失格となったため16位に修正)。

 今年型マシンVCARB 02が開幕戦オーストラリアGPで見せた速さが、本物なのかどうか──。中国GPが「答え合わせ」だと言った角田は、スプリント予選で8位、スプリントレースでメルセデスAMGのアンドレア・キミ・アントネッリを抑えて6位と今季初入賞をつかみ取り、正解だったことを証明してみせた。

苦手だった長く回り込む低速コーナーでも速さを見せた photo by BOOZY苦手だった長く回り込む低速コーナーでも速さを見せた photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る いや、正確に言えばこの時点ではまだ、角田の力業で正解にした部分も大いにあった。

 スプリント予選では、ウイリアムズやアストンマーティンを僅差で抑えての7番手。そこから渾身のアタックラップと19周のスプリントレースを通した細やかなタイヤマネージメントで、手繰り寄せた結果だったからだ。

「スプリント予選の時点で、マシンはそんなに満足できる仕上がりになっていなかったので、8位になれたのはかなり予想外でした。正直に言って(スプリントの)ロングランのほうが走りやすかったのもあったんです。

 だけど、そこから変更を加えて、予選では走り始めた瞬間からすごくいいと感じられましたし、自信を持ってドライブすることができました。予選に向けて、さらにいいクルマが作れたんです」

 予選では、追い風のなかでリスクを背負って攻めた結果、最終アタックでコースオフして9位。だが、チームメイトのイザック・アジャが7位に入り、レーシングブルズはウイリアムズやアストンマーティンに0.3秒近い差をつけて、単独5番手のマシンに浮上した。

 特にぐるりと回り込む長い低速コーナーで速さを見せ、角田が懸念していた昨年までの嫌なマシン特性は完全に改善できていることが「答え合わせ」できた。

1 / 2

著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

【写真】名カメラマンがとらえたアイルトン・セナ名場面フォトギャラリー

キーワード

このページのトップに戻る