【F1】角田裕毅はまたも戦略ミスで入賞ならず チームは「マシンの速さに浮かれて」欲を出した
F1第2戦・中国GPレビュー(後編)
第2戦・中国GP決勝。角田裕毅(レーシングブルズ)は9番グリッドからのスタートとなった。
スタート直後、前方ではフェラーリ勢同士が接触し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)もポジションを落とす。その混乱をうまくすり抜け、ターン6からターン9まで角田はサイドバイサイドで僚友アジャに仕掛けて前に出た。
この攻めで角田はチームメイトに先行し、レース戦略面で優位に立つという非常に大きな価値をつかみ取った。
角田裕毅は入賞のチャンスをフイにさせられた photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る なぜなら、このレースではタイヤのグレイニング(表面のささくれ)に起因する磨耗が厳しく、ラップタイム低下が顕著だと予想されていたからだ。タイヤの"タレ"が大きいということは、新品タイヤを履けばタイムアップの幅が大きく、相手より1周早くピットインすることができれば、大きなタイムゲインを得て逆転が可能になる。
今回のレースを考えるに、1ストップ作戦で走りきるのは難しく、2回のピットストップでそういった争いが繰り広げられることになると予想された。
10周目に後方のピエール・ガスリー(アルピーヌ)が仕掛けてくると、レーシングブルズは翌周に角田をピットインさせて、中団トップのポジションを守った。
アジャを先にピットインさせていれば、翌々周ピットインすることになる角田はエステバン・オコン(ハース)にアンダーカットされてしまっていただろう。アジャはポジションをひとつ犠牲にすることになったが、チームとしては正しいピット戦略を敢行したと言えた。
スタートからハードタイヤのまま走り続けるランス・ストロール(アストンマーティン)を除けば、角田は実質的に7位、アジャは10位を走行。そのままいけばダブル入賞は確実な展開だった。
しかし予定外だったのは、第2スティントに履き替えたハードタイヤがミディアムに比べて、予想以上に耐久性が高かったことだった。
1 / 4
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。