F1の安全神話は崩れた。時速200km/hで「あわや大惨事」だった日本GPの教訓を生かすことができるか (3ページ目)
悲劇を繰り返さないために
なかでも、1周目にクラッシュしたカルロス・サインツ車の撤去作業が行なわれているところにピエール・ガスリーが200km/hの速度で直面しそうになったインシデントは、ドライバーたちから強い非難の声が上がった。
1週間前のシンガポールGPで角田がクラッシュした際にも、各マシンがまだセーフティカーに追い着こうと「デルタラップタイム(基準タイム)」に従って走行しているなか重機を持ち込んで撤去作業が行なわれ、ドライバーたちから改善要求が出されていた矢先だった。それだけにレースコントロールへの批判が相次ぎ、FIAは詳細な調査を行なうこととなった。
ドライバーのみならず事故処理にあたるマーシャルの安全を守るためにも、レースコントロールの運営やガスリーが従っていた「デルタラップタイム」に問題があるのなら、徹底的に検証して対策を講じなければならない。特にあのような雨のコンディションかつブラインドコーナーで、ドライバーの「配慮」だけに頼っていたのでは、あまりに危ういからだ。
GPDA(グランプリ・ドライバー協会)のディレクターを務めるジョージ・ラッセルは、次のように説明している。
「すべてのドライバーが懸念を示し、あれは正しいことでなかったという意見で全員が一致している。あんな事態は絶対に起きるべきではないと考えている。なぜあれが起きてしまったのか、それを理解するために努力しなければならない。明日のドライバーズブリーフィングでひざを突きつけあわせて話し合い、レースディレクターの見解も聞く予定だ」
ドライバー側からはすでに、さまざまなアイデアが提案されているという。
「クレーンをコース上に出す際には、全ドライバーの合意が必要だと思う。(セーフティカーで重機を使った作業ができるのは)ストレートラインだけにして、そのミニセクターではウィービングを禁止するとか、速度制限を設けるといった措置を執ることもできるかもしれない。
コース上で何かが行なわれる場合には、無線による情報伝達も必要だろう。そういったよりよい解決策を見つけ出すために、力を合わせていく必要があるんだ」
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