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MotoGP最終戦は予測不能のシーズンを象徴する展開。スズキは三冠を逃す (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 ちなみに、新チャンピオンのミルは、電子制御系のトラブルにより今回の決勝レースでリタイアを喫したため、スズキに加算されたコンストラクターポイントは15位でフィニッシュしたリンスの1点。ドゥカティはミラーの2位で20ポイントを獲得。また、ヤマハはモルビデッリが3位フィニッシュを果たして16ポイントを加算したため、ヤマハはスズキとの間にあった13点差を逆転し、ランキング2位へ浮上した。その結果、コンストラクター部門で、スズキはドゥカティとヤマハに次ぐ3位に転落してしまった。

 シーズン全体のマシンパフォーマンスでは、全方向的にそつのないまとまりで他陣営を凌駕してきたものの、最終戦のリザルトであっさりとひっくり返されて、スズキの三冠達成は来年へお預けになってしまった格好だ。チーム関係者やメーカー開発陣にとっては残念極まりない結果だが、そんなところもファンにはひょっとしたら憎めない愛嬌のひとつに映っているかもしれない。

 さらに、最終戦レースリザルトは、もうひとつの珍しい記録を樹立することにもなった。

 優勝したオリベイラ、2位のミラー、3位のモルビデッリはいずれもサテライトチームの所属だが、前回にサテライト勢が表彰台を独占したレースは、実は04年まで遡る。

 04年第13戦カタールGPの際に、セテ・ジベルナウ(優勝/ホンダ)、コーリン・エドワーズ(2位/ホンダ)、ルーベン・チャウス(3位/ドゥカティ)が表彰台を占めて以来16年ぶり、レース数にして275戦ぶりだ。このサテライトチーム表彰台独占は、新型コロナウイルス感染症という人類史に残るほどの災厄に見舞われたシーズンを象徴する出来事のひとつという見方も、もちろんできるだろう。だが、サテライト勢は総じて、チーム体制や運営資金などでファクトリーチームにどうしても劣るため、この健闘はまちがいなく快挙といっていい。

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