MotoGP最終戦は予測不能のシーズンを象徴する展開。スズキは三冠を逃す (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 母国大会で地元出身ライダーが圧倒的な強さを見せて勝つレースは、それがどこの国で、どのライダーであろうとも、やはりいつ見ても気分がいいものだ。オリベイラの上記の言葉も、世界中の多くの人々からおおいに好感を持って受け止められたことだろう。

 ところで、今回のシーズン最終戦はいくつかの記録がかかったレースでもあった。

 ひとつは、ライダーたちのランキング2位以下を巡る争い。

 2020年のチャンピオンは、すでに前戦のバレンシアGPでジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が獲得している。だが、2位以下の順位は僅差でひしめいており、今回の結果次第ではランキング上位につけていた選手も最終結果を年間10位で終える可能性がある、という混戦だった。

 特に熾烈を極めていたのが、バレンシアGP終了段階でランキング2番手につけるフランコ・モルビデッリ(ペトロナス・ヤマハ SRT)と、それを4点の僅差で追う3番手のアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)のポイント争いだ。モルビデッリとしては、最終戦でも好成績を収めて2番手の位置を死守したい。一方のリンスは、モルビデッリよりも上位の成績で終えてランキングを逆転し、2位に浮上したい。それが、最終戦を控えた彼らそれぞれの状況だった。

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