山本昌が激戦の日本ダービーで注目するのは? 「思い入れのある馬の産駒には頑張ってもらいたい」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

 雨が降るなど馬場状態次第では、シンエンペラー(牡3歳)の台頭もありそうです。

 何と言っても、全兄が凱旋門賞馬のソットサス。距離はまったく問題ありませんからね。

 ただ、キレ味勝負になるとどうなのか。日本の競馬場のなかでも、特に東京はキレ、瞬発力が必要ですから。同馬は、そこに多少なりとも不安があるのですが、馬場が渋れば、この馬の馬力や対応力が生きて、突き抜けることもあるかもしれません。

 皐月賞とは別路線組のなかで気になるのは、シックスペンス(牡3歳)。ジャスティンミラノ同様、まだ底を見せていない一頭です。

 今回は、前走のGIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)を勝って以来のレース。そのため、少し間隔は空いていますが、最近はこういう使われ方をする馬も多いですし、それほど心配はないでしょう。

 同馬を管理するのは、国枝栄調教師。これまで、牝馬三冠レースでは数多くのタイトルを手にしていますが、牡馬クラシックは未勝利。引退を再来年に控え、やはりダービー制覇への想いは強いはず。シックスペンスを送り出す今年は、大きなチャンスです。

 GII青葉賞(4月27日/東京・芝2400m)を勝ったシュガークンは、数少ない2400m戦の経験馬。ドゥラメンテ産駒にはキレのある馬が多く、この馬もダービー向きだと思います。

 青葉賞組は過去にダービーを勝ったことがないのは気になりますが、そういった法則もいつかは崩れるものです。3年前にダービーを制したシャフリヤールも、「毎日杯から来て勝った馬はいない」というジンクスを覆していますからね。青葉賞組のジンクスも、今回で打ち破られても不思議ではありません。

 ここに挙げた以外にも、可能性を秘めた馬は何頭かいます。馬券については、それらすべての馬の特徴をきちんと吟味して、レース直前までしっかり検討したいと思っていますが......、もしコスモキュランダが6、7番人気にとどまるようなら、3連系の馬券の軸にしてもいいのかな、と。

 もちろん、ジャスティンミラノも押さえますよ。無視するはずがありません(笑)。正直、皐月賞のときも、GIII共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)から間隔が空いているのがどうかと思っていたのですが、強かったですからね。

 何はともあれ、3歳春に行なわれるダービーでは、ほとんどの馬が2400m戦を経験していません。距離適性よりも、もっと根本的な能力がモノを言うレースです。

 その判断材料のひとつとなる血統もじっくりと精査しつつ、何か理由を見つけて"これ!"という馬を探してみたいと思っています。

山本昌(やまもと・まさ)/1965年生まれ。神奈川県出身。日大藤沢高から1983年ドラフト5位で中日に入団。5年目のシーズン終盤に5勝を挙げブレイク。90年には自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。その後も中日のエースとして活躍し、最多勝3回(93年、94年、97年)、沢村賞1回(94年)など数々のタイトルを獲得。2006年には41歳1カ月でのノーヒット・ノーランを達成し、14年には49歳0カ月の勝利など、次々と最年長記録を打ち立てた。50歳の15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍中。

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