宝塚記念はイクイノックスを各馬が意識しての早仕掛けの一戦か タフな展開のなかで浮上する大穴とは?

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Sankei Visual

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

──今週は、GⅠ宝塚記念(阪神・芝2200m)が6月25日に行なわれます。上半期の「グランプリ」にふさわしく、GI馬8頭と豪華なメンバーが顔をそろえました。なかでも注目度が高いのは、世界ランク1位のイクイノックス(牡4歳)です。

大西直宏(以下、大西イクイノックスはファン投票で歴代最多の21万票超の支持を集めたとのこと。その数字からも、多くのファンが期待しているのがよくわかります。この馬が出走していなかったら、各メディアの印も割れて"大混戦の宝塚記念"になっていたでしょうね。

 僕としても、その走りを何度でも見たい1頭。この馬が出走することで、レースの質も大きく高まるはずです。本音を言えば、この舞台で同期の好敵手であるドウデュースとのマッチアップも実現してほしかったのですが、それは秋の最大の楽しみとして取っておきたいと思います。

――そのイクイノックスですが、今回は初の関西圏での競馬となります。その辺りの適性を含めて、懸念される材料などはありますか。

大西 阪神競馬場を走るのは初めてですが、似たようなコースの中山での走りを見る限り、あまり不安を感じません。

 単純に馬の能力だけで言えば、ここでも一枚も二枚も抜けていると思います。頭の賢い馬で、鞍上のゴーサインにスッと反応できるのが最大の武器。これまで、一度たりともモタモタした姿を見せていませんよね。

 前走のGIドバイシーマクラシック(3月25日/UAE・芝2410m)では、逃げの競馬で後続を楽々と突き放して完封。自在性も身につけた今、不安材料は極めて少なくなったように思います。

 強いて不安点を挙げるとすれば、これまでに経験したことのないような、極端に時計のかかる道悪馬場になった時くらいでしょうか。ただ、血統配合やかき込みの強いフットワークからして、それも杞憂に終わるような気がします。

 いずれにしても、この馬を巡る争いという構図になるでしょう。僕としては、他のジョッキーがどのような意識を持ってレースに臨むのか。本気で勝ちにいくのか、一発狙いに徹するのか、その辺りに興味がそそられます。

――その点について、もう少し詳しく聞かせてください。「1強」というレースにおいて、本命馬以外の騎手の心理面とはどういった感じになるのでしょうか。

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