繁栄の一族出身のサファイア。デビューは先も、スタッフはすでに光るものを感じとっていた

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第15回:サファイア

 競馬の世界においては、毎年のように活躍馬が出てくる一族がある。ファンにとってはお馴染みの血統であり、2歳馬のデビューシーズンを迎えると、「今年はこの一族からどんな馬が登場するのだろうか」と、大きな注目を集める。

 今年の2歳馬のなかにも、近年頻繁に活躍馬を出している一族出身の評判馬がいる。栗東トレセンの辻野泰之厩舎に所属するサファイア(牝2歳/父ロードカナロア)である。

血筋のよさから注目が集まっているサファイア血筋のよさから注目が集まっているサファイアこの記事に関連する写真を見る 同馬は、デビュー3戦目で日本ダービーを制したフサイチコンコルドを送り出したバレークイーンからなる一族の出。1990年代から日本で数多くの活躍馬を出してきた繁栄の血統だ。

 サファイアの曾祖母は、フサイチコンコルドの妹となるグレースアドマイヤ。祖母は、2000年代半ばのGI戦線で名を馳せたリンカーン、皐月賞馬のヴィクトリーを兄に持つスカーレット。そして母が、2017年のダービーで1番人気(3着)に推されたアドミラブルや、重賞戦線で好走を繰り返したエスポワールらの姉、イサベルである。

 その血統背景を見ただけでもサファイアへの関心は高まるが、さらに同馬への期待を膨らませるのは、姉たちの活躍があるからだ。

 母イサベルの子は、これまでに3頭がデビュー。いずれも素質馬と評され、実際に3頭とも勝ち上がっている。特に2018年生まれのアールドヴィーヴルは、デビュー2戦目のGIIIクイーンC(東京・芝1600m)で2着と好走。その後、GI桜花賞(阪神・芝1600m)、GIオークス(東京・芝2400m)の牝馬クラシックでも、ともに5着と奮闘した。

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