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「絶対リベンジするから覚えとけよ」。勢い止まらぬルーキー・今村聖奈の騎手人生は挫折から始まった

  • 河合 力●取材・文 text by Kawai Chikara

今村聖奈 インタビュー前編

今年3月にJRAジョッキーとしてデビューした今村聖奈騎手(18歳)は、女性騎手のデビュー年最多勝記録(9勝)を5月に早々と更新。現在は40勝(地方含む)の大台を超え、新人トップを独走している。さらに、7月のGⅢCBC賞では重賞初勝利を挙げるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍。そんな今村騎手に、これまでのレースぶりや、その中に垣間見える自身の性格を話してもらった。

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デビュー直後に味わった挫折

ーー3月のデビューからすばらしい活躍です。8月20日には、GⅠ騎乗可能となる通算31勝目を挙げましたが、この制度ができてから3番目に早い記録。ここまでの成績をどう感じていますか?

今村聖奈(以下、同)
 自分の想像をはるかに超えて順調に来ていると思いますし、それもひとえに周りの方々の協力のおかげだと感じています。本当に感謝したいですね。

ーーデビュー前にここまでの成績を残せると思っていましたか?

 思っていませんでしたね(笑)。デビュー前の競馬学校では同期たちと模擬レースを行なうのですが、私は一度も勝ったことがなくて。ジョッキーとして「まずは1勝したい」という気持ちだけでした。

 だからこそ、デビュー週に10レースも乗せていただきながら勝てなかった時は本当に悔しくて。新人騎手にチャンスのある馬を託していただきながら、私の至らなさで取りこぼしてしまうレースばかりで。

「なんでジョッキーになったんだろう」と思うくらいに落ち込みましたし、来週のレースを迎えるのが嫌になるほどでした。

性格は「女王様的」

ーーたしかに3月5、6日のデビュー週は10戦騎乗して3着が最高。初勝利は翌週3月13日、通算17戦目でした。とはいえ、それほど思い悩んでいたのは意外な印象です。性格的にも、負けるとかなり悔しがるタイプですか?

 悔しがりますね。私の性格は、本当に「プライドの高い負けず嫌い」ですから(笑)。小さい頃からいつも一番になりたいと思っているタイプで、負けると悔しくて仕方なくなりますね。

 競馬学校では、馬に騎乗して教官が評価する試験があるのですが、私はずっと2位で。常に同期の角田大河が1位でした。それもすごく悔しくて、ある時、教官に自分のどこが悪いのか聞きに行ったほどです。2位というのを認めたくなくて。自分が1位にならないと面白くない、本当に女王様的な性格だと思いますよ(笑)。

 ただ、競馬学校にいるなかで少しずつ考え方が変わって、1位にならなかったことにイライラするのではなく、1位になれる人はそれだけの努力を続けているのだから、自分に何が足りないか、逆に言えば、角田大河をはじめ、同期みんなのいいところを見つけようと思うようになりました。

 それでもレースでは変わらず負けず嫌いですし、負けた時は、絶対リベンジするから覚えとけよ、と密かに思っています(笑)。

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