連覇時より強い。年間1位のサンフレッチェ「変幻自在の攻撃力」

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 結果を出しながら、個も、チームも成長していこう――シーズン当初、サンフレッチェ広島の森保一監督が選手たちに投げかけたテーマである。そして、11月22日に行なわれたJリーグセカンドステージ最終節、広島の選手たちは指揮官が理想とする姿をピッチ上で存分に体現してみせた。

 チケットが完売し、広島のホームであるエディオンスタジアムには3万3210人ものファンが集結した。その大観衆の中、湘南ベルマーレを迎えた広島は、MFドウグラスがハットトリックをマークすれば、FW佐藤寿人が中山雅史に並ぶJ1通算最多ゴール(157得点)を記録するなどして、5-0と圧勝した。この結果、広島はセカンドステージ優勝を飾るとともに、年間勝ち点1位の座を獲得し、チャンピオンシップ決勝進出を決めた。

 試合後、ミックスゾーンを通りかかった森保監督に、「ウチの現場監督です」と茶化された中盤の要・森﨑和幸は、「自分たちのやりたいことが90分間通してできた、理想的なゲームだった」と湘南戦を振り返った。

セカンドステージ優勝と年間1位の座を手にしたサンフレッチェ広島。セカンドステージ優勝と年間1位の座を手にしたサンフレッチェ広島。 MFミキッチが、「最近はスペースを消してくるチームが多い中で、アグレッシブに来てくれるチームだった。それが(広島のサッカーに)うまくはまった」と語ったように、湘南が真っ向勝負を挑んできてくれたことが、大量得点につながった一因であることは間違いない。だが、2012年、2013年と、J1連覇を達成したときと比べて、その強さは明らかに違っていた。広島のサッカーは、大きく変貌を遂げていたのである。

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