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ルイス・エンリケはいかにメッシやデンベレの心を掴んだのか 「反骨」の指揮官、欧州王者への道

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

名将たちの人心掌握術(10)
ルイス・エンリケ

 スペイン人のルイス・エンリケ・マルティネス監督は、2024-25シーズンからパリ・サンジェルマン(PSG)をチャンピオンズリーグ連覇に導くなど、今や「超一流監督」と言える存在になった。問題児と言われていたウスマン・デンベレを"再教育"し、バロンドール受賞に導いた。選手に適切な役割を与えて啓発する手腕は高く評価される。

 スペインでも、ルイス・エンリケはバルセロナでチャンピオンズリーグ、ラ・リーガ、スペイン国王杯という三冠獲得の偉業をやってのけている。「MSN」(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字をとったアタックトリオ)は一世を風靡した。3人のスーパースターを組み合わせた攻撃力は今も語り草だ。

 ルイス・エンリケは、さながら"スーパースターの使い手"と言えるだろうか。そのマネジメントのルーツにあるのが、"反骨心"というパーソナリティだろう。人生を通じ、闘争で勝ち取った境地だ――。

チャンピオンズリーグで連覇を果たしたパリ・サンジェルマンのルイス・エンリケ監督 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAチャンピオンズリーグで連覇を果たしたパリ・サンジェルマンのルイス・エンリケ監督 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA ルイス・エンリケは21歳からレアル・マドリードで5シーズンをプレーし、アグレッシブな姿勢でラ・リーガ優勝にも貢献した。しかし、アタッカーが本職にもかかわらずサイドバックを命じられるなど、起用法や待遇を巡って首脳陣と対立し、宿敵だったバルサへの移籍を決意。「裏切り者の逃亡者」と猛批判を受けたが、これが人生のターニングポイントになった。

 バルサでも当初、"マドリードから来た選手"として色眼鏡で見られていたが、闘争心をむき出しにしたプレーは好感を持たれるようになる。カタルーニャ語を積極的に用いるなど、"バルサの人間"として振る舞ったことも大きかった。8シーズン在籍し、レアル・マドリード戦ではかたき討ちのように燃え立つ姿が人気を集めた。

 その反骨心は、彼のトレードマークになっていた。バルサという反逆心旺盛なチームで、人間性が引き出されたのかもしれない。引退後、バルサBを率いて結果を残し、ローマ、セルタの監督を経て、バルサの監督として戻り、栄光を勝ち取っているのだ。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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