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ルイス・エンリケはいかにメッシやデンベレの心を掴んだのか 「反骨」の指揮官、欧州王者への道 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【日本戦では反骨心が仇に?】

 その後、ルイス・エンリケはスペイン代表を率いることになるが、そこでは反骨の歴史が仇になる。

「スペインを率いるにはふさわしくない!」

 大手スポーツ紙の『マルカ』『アス』は、ことあるごとにルイス・エンリケに対して批判的な論陣を張った。なぜなら、両紙はマドリードを本拠にしたメディアであり、レアル・マドリードのファン、サポーターの憎悪を肩代わりする使命があったのである。圧倒的なポゼッションを誇りながら得点が決まらないと、「バルサの真似事だ」と容赦なかった。「レアル・マドリードの選手よりもバルサの選手を優先して選出している」と粘着的な批判を続けた。

 ユーロ2020では、ルイス・エンリケは右利きのセンターバックにバルサ下部組織育ちのエリック・ガルシアを"秘蔵っ子"として選出し、物議を醸すことになった。E・ガルシアは当時、マンチェスター・シティでリーグ戦に6試合しか出ていなかったからだ。しかも大会では期待に応えられず、ここぞとばかりに『マルカ』や『アス』は「セルヒオ・ラモスを呼び戻して使っていれば!」と非難した。

 これで、ルイス・エンリケの反骨スイッチが入らないはずはない。2022年のカタールワールドカップに向けては、自らメディアを作って発信するようになる。メディアとの関係性はどんどんこじれていき、やりとりはほとんど喧嘩腰になった。それがグループリーグで日本に敗れた一因だったとも言える。メディアとの衝突によって、内部から崩れていた面もあったのではないか。

 あるいは、ルイス・エンリケは自らのサッカーの正当性を示そうと必死だったのかもしれない。

 たとえば、GKに抜擢されたウナイ・シモンは、足技が得意なタイプではなかったが、「蹴るな、つなげろ」という監督の指示を愚直に守らざるを得なかった。日本のプレスを前に無理なつなぎを続け、失点シーンはまさに必然だった。その前のドイツ戦でもその兆候は見えており、十分に見抜ける弱点だった。

 ルイス・エンリケは、反骨心によって自滅したと言わざるを得ない。

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