連覇時より強い。年間1位のサンフレッチェ「変幻自在の攻撃力」 (5ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 広島は、決して“コンビネーションサッカー”を捨てたわけではない。ただ、それを築く過程で、カウンターとサイド攻撃という、新たな武器を身につけた。J1最少失点を誇る守備をベースにして、あらゆる攻撃を模索し続けてきた結果、広島はJ1最多得点を誇る攻撃も完成させたのである。

 だからこそ、湘南戦の結果を受けて森﨑和は「理想的なゲーム」と称した。

「2年前に優勝したときは、しっかりボールをつないで(選手個々の)コンビネーションから点を奪って勝ってきた。それが、だんだん(相手に)研究されてきて、遅攻だけでなく、速攻もできるようになれば……と思っていた最中、今季はそういう形からの得点が増えた。逆に遅攻がうまくできず、歯痒い面もありましたけど、今日の試合ではどちらもできた。こういう試合を毎試合やりたい。それを何試合もできるようになれば、チームとしてもっと完成形に近づけると思う。リーグ最終戦でしたけど、まだまだこのチームは成長できるなって感じました」

 森保監督は、セカンドステージ優勝に歓喜するサポーターの前で、高らかにこう宣言した。

「キャプテンの青山がトロフィーを持っていますが、我々が欲しいのは、(Jリーグチャンピオンが手にする)シャーレです。みんなで優勝しましょう!」

 セカンドステージ優勝を遂げても、指揮官は「道半ば」という言葉を繰り返した。広島が目指すのは、あくまでもJリーグ王者。チャンピオンシップを制して、2年ぶりのJ1制覇を成し遂げることである。リーグ戦で輝かしい結果を出しつつも、今なお進化の過程にある広島ならば、それも間違いなく実現できるだろう。

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