【大学駅伝】早稲田大の全日本圧勝の決め手は「5区・鈴木琉胤」 花田監督「チャッピーも『5区が大事だ』って言ってましたから」
全日本5区・鈴木琉胤の存在感はチームの圧勝の一因に photo by 代表撮影/Kyodo News
10月の出雲駅伝に続き、11月1日の全日本大学駅伝を制した早稲田大。2区で先頭に立って以降、2位以下を引き離し続ける圧倒的な継走で、従来の大会記録を3分以上も更新する5時間03分31秒の大会新記録で2冠を達成した。「令和の三羽烏」の異名をとる大物ルーキー3人が務めた1区から3区までの衝撃走の印象が強いが、その背景には前回の箱根駅伝で4区区間賞を獲得した2年生・鈴木琉胤の5区起用があったのではないだろうか。
【5区・鈴木琉胤の効力とその理由】
全日本大学駅伝のレース前、優勝を目指す各大学の指揮官が警戒していたのが、早稲田大の補員に登録されていた鈴木琉胤(2年)の存在だった。
「仕上がりはすごくいい状態です。彼はゲームチェンジャー的な役割もできますし、タスキをもらった時点でリードしていれば、さらに差を広げることもできる。前半の選手たちは、あとの区間に鈴木が控えていることで、少し余裕をもって走れると思います」
花田勝彦駅伝監督も、鈴木には絶大な信頼を置いている。
鈴木の起用区間については、嘘か真か、早大競走部のOB会長であり花田監督の恩師でもある瀬古利彦氏でさえも教えてもらえなかったという。
「鈴木琉胤君が補員になっていますが、(何区に起用するのかを)花田さんは、私にも渡辺(康幸)君にも教えてくれないんですよ。皆さんはどこに配置されると思いますか?」
テレビ中継で解説を務めた瀬古氏は、前日会見でこんな質問をライバル校の監督に投げかけた。
駒澤大の藤田敦史監督は「5区」と推測。國學院大の前田康弘監督は「3区」、中央大の藤原正和駅伝監督は「3区か4区」と中盤に起用されると推し量った。そして、青山学院大の原晋監督は、後半勝負と踏んで「6区に入る」と予想した。
ずばり的中したのは、駒大の藤田監督だった。
「昨年、私たちがそういうレースをして勝っている。その前の年には、(國學院大の)前田監督も同じように5区をポイントにして勝ったので、5区でゲームチェンジっていうのは考えますね」
自身の経験をもとに藤田監督は予想を立てていたが、まさにそのとおりに、鈴木は当日変更で5区に登場した。
「(藤田監督は)鋭いなと思いました。過去4大会を振り返った時に、(優勝した)駒澤も國學院も、5区に強い選手を置いていましたから、やっぱり5区だなと思って。チャッピー(ChatGPT、生成AIサービス)も『5区が大事だ』って言っていましたから(笑)」
花田監督は冗談っぽくこんなことを話していたが、江本亘コーチとも相談したうえで鈴木の起用区間を決めたという。
「中盤に核になる選手がほしいと思い、鈴木を5区に置くことにしました。
近年は5区に強い選手を置けるチームが勝っている。江本コーチがいろいろ分析し、アドバイスをくれて、こういうオーダーを組みました」
実際、今回も5区にエース級を配したチームは多かった。それでも、鈴木の力はそのなかで群を抜いていた。
「鈴木には、『もし借金があったら、しっかり返して』と走る前に話していました。後半区間に強い選手たちがいることで、1年生3人も心理的に優位に走れたと思います」
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著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

