日向娘・永峰咲希が女子プロ制覇。支え続けた両親へ感謝の言葉があふれ出た (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 表彰式を終えてから臨んだリモート会見で、生きていくうえで大事にしていることは――と訊ねられた永峰の回答は、彼女の人柄を端的に表すものだった。

「感謝の気持ちを忘れないこと。でも一番は、人に迷惑をかけないこと」

 初優勝の直後、初めてインタビューをしたが、彼女からはその言葉のとおり純朴で、誠実な印象を抱いたものだ。

 ゴルフを始めたのは、小学校5年生の時。初ラウンドは、両親と一緒に回った宮崎の河川敷コースだった。それから本格的にゴルフに打ち込み、祖父が働くゴルフ練習場まで、母の香奈子さんが送り迎えをした。永峰が高校を卒業するタイミングを迎えると、香奈子さんは勤め先を辞め、プロゴルファーを目指す娘のサポート役に回った。

 プロとなってからも、香奈子さんは永峰がラウンド中に口にするおにぎりを作り、洗濯や旅券の手配などを行なった。永峰親子のように、ツアーを転戦する女子ゴルファーに母親が帯同しているケースは多いが、その理由を永峰はこう話していた。

「私を含め、一人っ子の女子プロが多いからではないでしょうか。私と同世代で、九州でがんばっていたジュニアは、一人っ子率がとても高かったですから。やっぱり、小さい弟や妹がいたら、その面倒を見なくちゃいけないじゃないですか。

 私は田舎町に育って、近所にお祖父ちゃんやお祖母ちゃんがいた。今、父親には寂しい思いをさせていると思うんですが、家族の支えがあったからこそ、ゴルフを続けられたし、今も母に帯同してもらえているんだと思います」

 初優勝から2年が経過し、25歳となった現在も、永峰の傍らには香奈子さんがいる。だが、コロナ禍における今年のトーナメント会場では、いくら家族でもラウンドに帯同できず、クラブハウスにも入れない。

「去年までは、私のラウンドにずっとついてくれていたんですけど、今年は私を車で送って、ラウンドが終わるまで待っていてくれる。その時間がありすぎて......。そばにいてプレーを見られないから、母も歯がゆかったと思う。この優勝で、日頃の感謝の気持ちを伝えたいです」

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