検索

【欧州サッカー】GKウェイン・ルーニーはPKを次々とストップ メッシやイブラヒモヴィッチも称賛した世界屈指のFW (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Hideki Kasuya

【10年遅く生まれていれば...】

 さらにルーニーは、汎用性も高かった。マンチェスター・ユナイテッドで同じ釜の飯を食ったエドウィン・ファン・デル・サールの証言である。

「PKの練習をしていた時、ルーニーがGKのポジションに入ったのだが、次々に止めたんだ。キッカーが自信をなくすからやめようぜってなったんだよ」

 GKだけではない。適性とされるシャドーはもちろん、丁寧かつ力強いポストワークを生かして1トップ、迫力あふれるドリブル突破と正確なクロスで左右のウイング、そして中・長距離のパスをコントロールする中盤センターまで、ルーニーはチーム事情に即しながら多くのポジションに対応した。

 緻密な戦略に基づく高度な戦術は、近代フットボールにおいて成功を手にする必須要素である。全ポジションに多くの役割が求められるようになった。リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドもルーニーほどの守備的タスクや献身性を全ポジションで発揮するタイプではなく、現在のフットボールで異彩を放つキリアン・エムバペやアーリング・ハーランドも同様だ。

 ルーニーがあと10年ほど遅く生まれていれば、もっともっと高く評価されていたに違いない。

 第一印象は悪ガキ風で、ボールごと相手をえぐり取るようなタックルはまさに荒くれだ。童顔にもかかわらず、粗野なイメージもある。ただし、「気遣いの人」でもあった。マンチェスター・ユナイテッドで絶妙の連係を見せたディミタール・ベルバトフの話を聞いてみよう。

「新入団の選手がリラックスできるように心がけてくれた。どのようなパスが好きなのか、すぐに理解もしてくれた。ピッチの中でも外でも、ルーニーは周りがよく見えている」

 また、パク・チソンやダレン・フレッチャーなど、縁の下の力持ち的だった選手を「彼らの運動量こそが我々のストロングポイント」と称えた。ノリッジ戦でハットトリックを決め、メディアのインタビューに応える香川真司の背後で、静かにサポートする心遣いも見せていた。彼は単なる荒くれ者ではない。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る